職業的価値観を具体化していくためのトレーニング

公開日： 2011/11/30 MSW SW解体新書制作委員会

前回のエントリ「ソーシャルワーカーズ・ビックバン」という概念についてにおいて、

「援助者自身を支える屋台骨としての価値観を脅かす価値観との衝突」を「ソーシャルワーカーズ・ビックバン」と名付けたいと思います。ビックバンにより、コア（職業的価値の屋台骨）が誕生し、真の職業的価値観の過程がスタートするのだと考えています。

ソーシャルワーカーズ・ビックバン以前の援助者」は「職業的価値形成過程」に突入することができていないため、容易に「援助者自身の屋台骨としての価値観」（つまりは一個人としての）をクライエントとの関係性の中で無意識下で「活用」しようとしてしまう

と書きました。本エントリでは「職業的価値観を具体化していくトレーニング」について考えるところを記していこうと思います。



私がまずおすすめしたいのは、自分でトピックを決めて文章化してみることです。
「面接」とか「クライエント理解」とか「社会資源」とか、バイスティックの７原則のどれかひとつでもなんでもいいのです。ご自身の業務や学んでいることのトピック、それぞれについて自身の考えを書いてみる。それで見えてくることがたくさんあります。


例えば「面接」について文章化できないのであれば、それは未だ自身の職業的価値観の土台ができていないことを意味していると考えても過言ではありません。もちろん一度文章化したものは、アップデートされていくものではありますが、肉付けすべき土台がなければ全てはぼろぼろと剥がれ落ちていくだけになってしまいます。


職業的価値観を具体化するための言語化トレーニングは一生続けていくべきものですが、特に現場経験３年未満の人は徹底的に考え抜き、自身の方法論を得ていくことに力を注ぐべきだと考えます。そうでないと自身の実践に根拠を与えてあげられないからです。


自身の実践に根拠を与えてあげられない＝プロフェッショナルとは言えない。こんな簡単なロジックから導かれる「職業的価値観を具体化していくトレーニング」の必要性を訴えてくれる場は教科書にも大学教育にもありません。だから、私が代わりに叫び続けてやろうと思っています（笑


もちろんバイスティックも大事ですし、社会保障の知識も必要です。ですが、自分の心と身体を通して援助を行うのが「対人援助職」なのですから、自分の心と身体で創り上げる「職業的価値観」がしっかりしていなければ、バイスティックも何も意味をなさないのです。


文章化が難しければ、図解してみるという方法もあります。流行のマインドマップ風に、特定のトピックを中心に周辺概念を表す言葉をキーワードで記していくなどしてみてもいいと思います。。私は３年目くらいのとき上記のようにして「面接」とか「クライエント理解」の地図を書いたりしていました。


文章もしくは図解する。ということは、自分の思考の整理に欠かせません。
同じトピックについても継続しアウトプットし続けることで、いつしか「いつ、どこでも、誰に対してでも」そのトピックについて話ができるようになるのです。それができてはじめて、職業的価値観の形成過程のスタートラインにつけるのだと私は考えています。


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ソーシャルワーカーたちが「がん」とか「貧困」とか諸々、そういうものを専門領域のように語る前に、もっとやるべきことがあるはずだと個人的には思います。日本でソーシャルワーカー（もしくは社会福祉士）の社会的認知度が低い理由はただひとつ。総合的にみて、実力が無いからです。悲しいけれど、それが現実だと認めないとなにも変えられないのです。


ソーシャルワーカーと名乗った日から「プロフェッショナル」になれるわけではないのです。「ソーシャルワーカー」と名乗ったその日から、ソーシャルワーカーの職業的信頼は「自分の実践」で全てが評価されるのです。誰か一人が「あのソーシャルワーカーはダメだ」と言われれば、社会全体のソーシャルワーカーが「ダメ」という烙印を押されることと同義なのです。


私もまだまだ５年目の中堅どころの入り口に入ったばかりです。
記した言葉たちを自分の胸に刻み、内省しながら、ジリジリと前進を続けていきたいと思っています。


さ！「学問のすすめ」ならぬ「言語化のすすめ」
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