「ソーシャルワーカーズ・ビックバン」という概念について
公開日: 2011/11/25 MSW SW解体新書制作委員会 キャリアデザイン
ソーシャルワーク解体新書制作委員会では、「ひとりひとりが有するソーシャルワークの身体知を共有し、後進に伝承可能な言語としてのソーシャルワークに落とし込む」その方法論を多くの人たちで探り体系化することを目的としたいと考えています。方法論=職業的価値の形成の過程を自ら描けること。それができないとこの仕事を続けていくことはとてもしんどいです。方法論(職業的価値の形成の過程を自らで描く)のアウトラインを引き、多くの同業者と共有することができれば、ひいてはバーンアウトする人をひとりでも少なくするための一助となるはずだと考えています。
「職業的価値の形成過程」において、最初にぶつかる壁は「援助者自身を支える屋台骨としての価値観を脅かす価値観との衝突」であり、これを意図するも意図せずとも避けて通ってしまううちは、純度の高い「実践の言語化」をすることはとても難しいというのが個人的な見解です。
コア(職業的価値の屋台骨)を中心に、その周りに衛星のように各概念が誕生する。コア(職業的価値の屋台骨)は「援助者自身を支える屋台骨としての価値観を脅かす価値観との衝突」で生まれる。それゆえ、それを避けているようでは、コア(職業的価値の屋台骨)不在で、各概念の誕生も起こりえないのだ、と考えています。
上記について、「援助者自身を支える屋台骨としての価値観を脅かす価値観との衝突」を「ソーシャルワーカーズ・ビックバン」と名付けたいと思います。ビックバンにより、コア(職業的価値の屋台骨)が誕生し、真の職業的価値観の過程がスタートするのだと考えています。
「自身を支える屋台骨としての価値観」について、もう少し具体的に表現するには、例えば、自分にとって無くてはならない大切なもの(有形無形問わず)を3つ選び、それを組み合わせたものが、自分を支える屋台骨としての価値観に結構近いものになるのではと考えます。その3つで「援助者自身を屋台骨としての価値観を表現するひとつのストーリー」を語れれば、かなりそれは「真実」に近いのだと思っています。
対人援助職についた以上、「援助者自身を屋台骨としての価値観を表現するひとつのストーリー」から否定される価値の集合体(他者)に出会う時が必ず来る。しかし、それに気づけるか気づけないかは援助者自身の実践への向き合い方次第なのです。
衝突を恐れていると「ソーシャルワーカーズ・ビックバン」は起こりえません。
「ソーシャルワーカーズ・ビックバン以前の援助者」は「職業的価値形成過程」に突入することができていないため、容易に「援助者自身の屋台骨としての価値観」(つまりは一個人としての)をクライエントとの関係性の中で無意識下で「活用」しようとしてしまう、というのが私の個人的見解です。
以上に関して、自身の内省も込めて記したのが、「想像力不足を援助者が期待するストーリーで埋めるということについて考える」というエントリです。自分の未熟さに気づかされた瞬間であるとともに、自身の中で「ソーシャルワーカーズ・ビックバン」が起こり始めていると感じられた瞬間でもありました。
私は来春現場6年目を迎えます。
きっと、ソーシャルワーカーとしてはこれからが正念場。ひとつステップを上がった先にある「真の職業的価値観の過程」の入り口に足を踏み入れられたのだとすれば、後はもう、次なる高みを目指して登り続けていくしかないのだと思っています。
:ソーシャルワーク実践解体新書制作委員会を立ち上げた理由について
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