ソーシャルワーク実践解体新書制作委員会を立ち上げた理由について
公開日: 2011/11/24 MSW SW解体新書制作委員会
【告知!】ソーシャルワーカーを志す学生さんや新卒者に、5年目以上の現場経験を有するソーシャルワーカーが現場で得たさまざまな知見を伝える=実践の根拠を後進にバトンタッチしていく、という、共に学び成長する場、組織を立ち上げます。応援いただける方、興味のある方、ぜひ声をかけてください!と、先日Twitterでつぶやいたところ、宣言をしたその日1日で、北海道や大分、岐阜など遠方の方々からも参加したいとのメールをもらいました。多くの方にリツイートしていただき、フォローしてくださる方も20人以上増えました。中には以前からブログ読んでくださっていた方も結構いらっしゃってびっくりしました。先日のtweetのまとめなのですが、以下、今回の宣言に至った理由・経緯を記させていただこうと思います。
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2007年。
全ては新卒1年目のときに奥川幸子氏の著作「身体知と言語」に出会ったことにはじまります。その一冊は奥川氏の30年余の医療機関での実践の全てを注ぎ込み、「対人援助職」の成長段階をストイックなまでに言語で描ききったものでした。
自分は今後数十年はこれを超える「対人援助」について突詰めて書かれた本は出ないだろうと思っています。この本が世に出た(出てしまった)ことで、世の対人援助職につく人間たちが誰ひとりとして「対人援助職にはマニュアルが無い。だから根拠が見えにくい」などという戯れ言を発することが許されなくなってしまいました。これはソーシャルワークの世界のパラダイムシフトを起こした一冊と言っても過言ではないと思っています。
新卒1年目に「身体知と言語」を読んだとき、あまりの衝撃に震えが止まりませんでした。なんていう困難な仕事についてしまったのだろうと思ったのです。でも今は、この本が世に出た時代に、ソーシャルワーカーの職についた自分は本当にしあわせなのだと思っています。なぜなら、「身体知と言語」が生まれた、いわば時代の変わり目を目撃し、そして、これからの新しい歴史を創っていける、そんなパラダイムにいるからです。
この一冊と出会わなければ、きっと今も、自分は知った顔で「対人援助職にはマニュアルが無い。だから根拠が見えにくい」などと戯れ言を言っていたに違いない。この一冊に出会い、次の日にブログをはじめました。とにかく、言語化しなければと思ったのです。そうでないと駄目になると思い、ただただ必死でした。
ブログをはじめた1年目の気づきなんぞたかが知れていました。数ヶ月に1回なんとか書けることを書きました。自分の実践を言語化し、外部化し、見えるものにしたかった。そうして得たものを積み上げていくことでいつかきっと今とは違う景色が見える、毎日辞めたいと思っている日々と決別できると思ったのです。
3年目には、自分が書き続けていたことがブログ上だけの産物ではなくて、実践における自分の行動の根拠となる「職業的価値」にまできちんと根付き始めていると感じられるようになり、日々の気づきを積み重ねて、そうしてできた屋台骨が自分を支えてくれていると実感できるようになりました。そのことはこの仕事を続けていく上で自分を大きく鼓舞してくれました。
でも、この過程は、先輩はもちろんのこと、同キャリアの同業者や、何より、自分の子ども・孫世代にあたる若造に少しの間であったとしても大切な唯一無二の人生をシェアしてくれた患者さん家族で出会えたからこそ、経ることのできたものであったと3年目に気づいたのです。
そのことに気づいたとき、『自分が「援助」している対象者である患者さん家族がいったい自分にどれだけの学びを与えてくれたか。その学びを次に出会う患者さん家族に、ひいては社会に還元していくことが必要なのではないだろうか』という疑問が生まれ、その疑問が生まれた頃と同じタイミングで、ブログを通じて学生さんやこの仕事に転職して就きたいという方から相談のメールをもらうようになりました。大それたことはできないけれど、自分の実践が少しでも誰かのためになっているんだな、とはじめて気づけたときでもありました。
それから1年半、最近まで「自分の実践を少しでも活かしてもらえるように他者に伝える」という意識をもって言語化していくことを続けてきた。そして、もう一歩、半歩でもいいので、歩を進めたいと最近考えるようになりました。
半歩進めて、「多くに人たちが実践から得た知を、多くの人たちで共有し、どこかで「辞めたい」と思っているソーシャルワーカーのパワーに、ひいては今後この領域に飛び込んでくる学生さん(後進)新人さんたちへ伝えることができないか」とモヤモヤと考えていたのですが、モヤモヤ考えても何も生まれはしませんでした。
たかが5年目の肩書きもなにもない、いち現場のソーシャルワーカーになにができるのか。論文とかそういったアカデミックなものでなく、広く、多くの人と共有し、恊働して創り上げる何かを…想像だけで実行には移せなかったのです。
『実践をストイックに言語化し、自身の「ソーシャルワーク実践解体新書」を後進たちへ引き継いでいくという覚悟を以て現場に立つプロフェッショナルを育て、自分たちもその高みを目指してアクションを起こしていきたい。』とTwitterでつぶやいて、ブログにも思いを書き記しました。
「いつか、もう少し力がついてから。」では、そのいつかはきっといつまでも来ないのだと思います。今の自分にできることを。この仕事を志した人がバーンアウトして去ることがないようにできることを少しずつ。ということで「ソーシャルワーク実践解体新書制作委員会(仮称)」を立ちあげることにしました。
実践をストイックに言語化し、自分自身の「ソーシャルワーク実践解体新書」を描くための方法論を得て、その知をしっかりと後輩たちへ引き継いでいく、常にその覚悟を以て現場に立つプロフェッショナルとしての意識の高いソーシャルワーカーを育て、自分たちもその高みを目指してアクションを起こしていきたい。
以上が、その経緯と、私自身の想いです。
おもしろそうだな!と興味を持ってくださった方たちと、ゆるやかに繋がりながら、色々と仕掛けていきたいなと思っています。地域が違えども、WEB上で共有できる仕組みや企画を考えていきたいと思っています。
今後、しばらくは当ブログで色々な告知等をやっていく予定です。
「よっしゃ!一緒にやったるか!」と声かけくださる方は、wish0517○gmail.com(○をアットマークに)からご連絡をお願いします。
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「ソーシャルワーク言語化のススメ」:メールマガジン刊行中です。
Social Workers Books Store:ソーシャルワークに関する書籍をあつめました。