「尊敬ベース」と「興味ベース」を基底に置くソーシャルワーク
公開日: 2011/10/08 MSW キャリアデザイン 思索
私のソーシャルワーカーとしての自分の基本的なスタンスは「尊敬ベース」と「興味ベース」に基づいています、と5年目の今なら言うことができます。患者さん家族に対して「敬意を示すこと」、そしてとにかく患者さん家族という存在に「興味を持つこと」そこからスルリと関係性の糸口を見つけていくイメージを持っています。
今の自分では、自分の容量の100%を患者さん家族に投入することは不可能です。
例えば、面接の中で考えを組み立てたり、見立てをしたり、話の方向付け、方向付ける・付けられる意味を考えたり、「純粋にその人の存在に対して100%の容量を投入する」という意味では、同時並行で行われる上記の作業に割くエネルギーの省エネ化=フレーム化、そして体系化 が必要になると考えます。
「存在に対峙する」という中心的な概念の周囲に「フレーム化、体系化の可能な演算処理能力」が存在し、その周りには自身の容量を外部の阻害要因により削がれるのを防ぐための「精神的余裕を生み出す」という方法論が存在するのだと思うのです。(参照:時間的・精神的余裕を生み出す努力)
上記理由で、私は前述したように、ソーシャルワークにおける「存在に対峙する」という中心的な概念を、自分は「尊敬ベース」「興味ベース」を根底に置き構成していこうとしているのだと意味付けをしています。
「尊敬ベース」における「敬意」は「他者に向けられる敬いの意思」です。
誰かから敬意を向けられることは、すなわち、「承認する、される」という人間の承認欲求にダイレクト・インすることでもあるのだと思います。だから、内的動機付けに触れることの出来る可能性を生むのだとも思うのです。(参照:ストレングス・アプローチにおける個人的見解)
「興味ベース」は、対人アプローチの入り口を広い視座から眺めるために必要だと考えています。「この人はどんな人か」という興味は、相手に対する「イメージを構成する要素」を豊かにする。豊かなイメージが持てれば「どの入り口」にノックすればいいかという問いが生まれ、入り口がひとつではないことに気づくことができるのだと思うのです。
興味の入り口を広げるには、色々な分野の書籍を読むことがその一助になると感じています。私は日頃ソーシャルワーク関係の本を読むよりも、その時々の自分自身の興味のあるテーマ・領域の書籍を読むことが多いです。(もちろん専門書を読むことも大切ですが、専門書における理論等を自身の実践に引き付けて読み解けないうちは、読んでもあまり意味が無いのではというのが個人的な意見です)
様々なテーマ・領域の書籍を読むと、ソーシャルワークに関連づけて「引用できる」ものに出会うことがよくあります。そういった書籍から得た新しい知識や、考え方や表現をヒントにしながら、自身のソーシャルワークの既存のフレームをいじったり、新しい定義を見つけていくのです。
先に記した『「存在に対峙する」という中心的な概念の周囲に「フレーム化、体系化の可能な演算処理能力」が存在し、その周りには自身の容量を外部の阻害要因により削がれるのを防ぐための「精神的余裕を生み出す」という方法論が存在する』ということについて、今後もう少しじっくりと考えて、言語化していきたいな、と考えています。
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