病気による社会からのドロップアウトを防ぐために。

公開日: 2011/08/30 MSW 思索 社会問題

「経済的な不安による受診控え」でどうしようもない状況になって救急でやってくる患者さんに出会うたびに、「今、自分が受診、入院したらどれくらいの医療費がかかるのか」ということを正確な知識として持っていればここまでにはならかったのでは…と思います。


今の勤務地は地域柄、経済的問題を抱えている方が非常に多く、上記のついて日々考えさせられます。



70歳以下の方であっても、きちんと健康保険に加入していて保険料を納めていれば、限度額適応証が取得できる。かつ、ちゃんと所得申告をしていれば、何十万も医療費を払わなければならないということにはなりません。(所得申告をしていないと上位所得者となってしまいます)そう考えると、健康寿命を長く、生活したり働いたりするためには、ある程度の社会保障の知識が必要だと常々思うのです。


先日、40代フリーターでとある疾病をかなり重篤な状況になるまで「受診控え」をしていた患者さんを担当したときに、


「健康の維持・増進、予防医学 そして、正しい社会保障の知識 ヘルスケアにおいて、各個人が正しい社会保障の知識を持つことの必要性とかってどんな風に語られているのだろうか」


という、ヘルスケアという概念への疑問を抱きました。


不安定な収入状況

医療費が心配で受診控え

疾病の重篤化

制度利用した上での医療費であればなんとか支払えたことが判明

アクセスフリーと言えども、医療へのアクセスを妨げる経済的不安の存在

「なんとか仕事をしてなんとか生活できている人」を病気によって社会からドロップアウトさせないっていうのは、経済を回すために必要なことだと考えると、ヘルスケアを考える上で、正しい社会保障の知識をどう組み込んでいくかという議論も必要なのではという疑問が湧く。


予防医学も大事ですが、まずは正確な社会保障の知識をもった上で「医療」にアクセスできなければ、経済的問題のある人たちの「受診控え」はどうにもならないと思います。正しい社会保障の知識にアクセスできない人たち、すなわち、そもそもヘルスケアという概念自体を「持つことが出来ていない」層にいる人たちにその概念を持ってもらうにはどうすればいいのか。


40代とか50代で「なんとか仕事をしてなんとか生活できている人」たちが疾病により生活保護受給となってその後就労せずに生活していく際のコストと、その人たちの経済的稼働時間を少しでも伸ばしていくための社会保障にかかるコストの議論はどのようにされているのだろう?


「なんとか仕事をしてなんとか生活できている人」を病気によって社会からドロップアウトさせないっていうのは、経済を回すために必要なことだと考えると、ヘルスケアを考える上で、正しい社会保障の知識をどう組み込んでいくかという議論


上記について、医療ソーシャルワーカーの職能団体が社会に果たすことのできる役割というのは意外と大きいものがあるのではと考えています。


職能団体として地域のイベントに出て、医療福祉の巡回相談などを行うことも意味のあることだとは思いますが、


「なんとか仕事をして、なんとか生活が出来ている人たちを病気によって社会からドロップアウトさせないための取り組み、仕組みづくり」


上記について、現状を分析し行動していくことができたら、不安定さに事欠かないこのご時世において求められるソーシャルアクションとなるのではないかと考えています。そして個人的なソーシャルアクションとしての興味の矛先でもあります。




同業者の方のご意見をよければお聞かせください。
よろしくお願いいたします。





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