ソーシャルワーカーが、後進の教育に携わるシステム作り②

公開日: 2011/03/28 MSW

新人ソーシャルワーカーにとっての、変化を担保してくれる、チェンジエージェントとしての先輩ソーシャルワーカーがいることの意味は、自身で気づくことができない、自身の変化を、先輩ソーシャルワーカーに言語化し、返してもらえる=自身の変化により多く気づくヒントを得られる、というところにあると思っています。

自身のアクティブで肯定的な変化を、「自分以外の他者に認めてもらう、担保してもらうという経験」として有しておくことの意味は、クライアントに対峙する際に、その人の変化に着目するということの意味をソーシャルワーカー自身が意図的にトレーニングしながら構築していくことが出来る、ということに直結するのだと思っています。それは、言いかえれば、変化を言語化するということを意識化し、自身のオリジナルな手法として有することができる、ということとほぼ同義だと思っています。

キャリアが長ければ、それに比例して自身の実践を言語化して後進に伝達する能力に長けているかといえば、それは残念ながら必ずしもそうとは言えない、というのが今の私の実感です。

教える、伝える、実践を言語化するということにフォーカスせずに、10年選手になり、そこから、その10年間を遡り、言語化しようとも、それは自身の変化の足取りを辿るには時間が立ち過ぎているのだと思うのです。

自身の実践を「自分の時はああだった、こうだった」としか語ることのできない同業者は、ストーリーテラー(おはなし上手)から脱することのできない、エセ専門職の域に留まるしかありません。

自分優位のストーリーテラーでは、自身の実践を粘土のように、様々な言語に変え、後進のソーシャルワーカーに適した形で伝えることはとても難しいのです。

そのことを各々のソーシャルワーカーたちが「危機感」として抱き続けられるか、ということが、ソーシャルワーカーを専門職として押し上げていく、全体としてのレベルの底上げをできるかそうでないかの鍵を握っているように思うのです。

個別化されたケースから抽出した「普遍的な実践についての言語」を得るためには、個々のソーシャルワーカーが自身が意識化し、方法論としてのその手法を持つしかないと思うのです。


「普遍的な実践についての言語」を得るため方法論としての手法を新人ソーシャルワーカーが得ていく過程において、その過程を「意図的にサポートするシステム」としての先輩ソーシャルワーカーの役割は、大きいのではないか。そして、そういったサポートを受けたソーシャルワーカーが、同様の意識を持ち、後進のソーシャルワーカーをサポートしていくことで、現場発の教育的な循環が生まれないだろうか?


そういった問題意識が根底にあり、前回のエントリーを記しました。


匿名さんからも同様に「危機感」という表現をいただけたことは、非常に嬉しかったです。


その「危機感」を10年選手に向う若い自分たちが、どのような形で後進のソーシャルワーカーたちに残していけるのか、ということを考えた時、「ソーシャルワークにおけるプリセプター的な、現場発の教育的な循環」を小規模でもいいので、まずは初めてみてはどうだろうかと思っているのです。


どのような形で動き始めるかは、おいおいこのブログでも記していけたらと思っています。
ご意見、アイデア等ありましたら、お教えいただけたら幸いです。
よろしくお願いいたします。



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