アセスメントにおける「時間」の意味

公開日: 2009/05/26 MSW

帰り道、自転車に乗りながら今日の面接をぼんやりと振り返る。

アセスメントをする際に、介入を要する患者さん家族と、治療が開始されてからどのような時期に出会っているのか。ということは留意すべき点のように思った。まだうまく言語化できないけれど、今の時点で思うところを記しておこうと思う。


例えば、救急入院で、
「これからどうなるのか。命は大丈夫なのか。経済的な心配もある。家には認知症の親がいて自分が介護をしなければならない。でも、入院している本人が心配だ。どうすればいいかわからない。」と混乱した家族に出会う場合と 「治療方針、今後の見通し等の説明がなされ、自身で考えた結論に対する援助を主訴としている」患者家族と出会う場合。


ひとつひとつのことを一緒に整理していくという点については前者の方が言ってしまえば「大変」のように感じるけれど、後者のように、ある程度の安定したひとつの結論を持っていらっしゃる患者さん家族に対し、表出された結論を、そのままニーズと捉え、話を進めていく際に潜む危険性にも目を向けるべきだと思う。


表出された主訴に沿って、それを尊重しながら、入院してから現在までどのような時間的経過を経てきたか。それを一緒に共有させてもらうことが基本だと思う。これを外してはいけない。


入院し現在に至るまで、病状的・ADLの変化等を本人・家族はどのような理解で、どのように認め、どのような自身の中での結論(その時点での)を持っているのか。そのような結論に至った経緯にどのようなことが起きていたか。どのような病状説明が行われたか。それに納得した上での結論か。誰かに相談したのか。利用しうる社会資源は紹介されているか。社会資源の内容をきちんと理解した上で、自身の現状と照らしわせての利用がイメージできているか。等々。


結論を導くに至った時間の中で、患者さん家族の内外にどのようなことが起きていたのか。結論はある日ぽっと出てくるものではないし、それは変わりうるものであるからこそ、その道筋を共有させてもらう過程で、結論の根拠を教えてもらうことは大切なことだと思う。



とある結論に至った経緯を振り返りながら、ときに違う方向から話を焦点化することで、その結論で間違いないのだ、という考えを深める人もいれば、逆に、「こうすればいいのではないか」という気付きを得て、その人なりの問題解決の方法を提示してくれる人もいる。



自己決定を支えるということは、自信を持って「こうしたい!」ということに対して、それが実現可能になるよう関わっていくことであると同時に、色々な選択肢を考慮した上での「こうしたい!」と言うことができるまでのプロセスを支えることでもあるのだと思う。





今夜は、入職以来お世話になっていた医事課長が転勤になるとのことで飲みに行ってきました。いろいろ医事のことを教えてもらったり、飲みに連れて行ってもらったり、色々とお世話になった方なので転勤は残念です。医事課長、お疲れ様でした。



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