社会福祉業界変革のシナリオプランニング

公開日: 2015/07/14 SCA ソーシャルアクション

埼玉県で開催された「生活困窮者自立支援制度フォーラム」に参加しました。
NPO法人抱樸(http://www.houboku.net/)、一般社団法人生活困窮者自立支援全国ネットワーク代表の奥田知志さんの話をはじめて聞くことができました。

特に目から鱗!はありませんでしたが、「生活困窮者に対する伴走型支援における二方面戦略」と題して、NPO法人抱樸のミッションを、

・ひとりの路上死も出さない
・ひとりでも多く1日でも早く路上からの脱出を
(これは、対個人)



・ホームレスを生まない社会の創造
(これは、対社会)

とおっしゃっていて、「生活困窮者自立支援法自体」も「者」と個人を対象にしているが、本来は、「生活困窮者創出社会改革法」と、本来「社会」を対象にすべきものだ、とおっしゃっていたのを聞いて、まさに!と思うとともに、ソーシャルワーク的機能を、NPO法人抱樸自体が有しており、それを引き続き強化しつつ、ミクロからマクロへアクションの線を引こうとしてこられたことがとてもよくわかりました。

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そして、大変失礼を承知で申し上げますが、本会には某社会福祉の職能団体からもシンポジストが参加されていたのですが、原稿棒読みで、協会が事業受託した市の話をされたのですが、「毎日小説のようなことが起こる、と話ながら、派遣した職員たちも頑張っております」、「行政との密な連携が大事です(シンポジウムには県の主査も来ていました)等の発言ばかりで、施行後、現場で拾い上げた課題の提言などはありませんでした。

NPO抱樸の奥田氏のほうが、よっぽど、「ソーシャルワーク」について語っていたことを恥ずべきだと、同じ社会福祉士としてわたしは思いました。(奥田氏は、一言も、ソーシャルワーク、という言葉は使いませんでしたが)

協会はせめてもっと”話をができるひと”を送り込むべき、もしくは協会全体として原稿をつくるべきだ、とさえ感じました。

協会内に、あのような注目度の高いシンポジウムを、戦略的に活用する、という思考が無かったことに本当に驚きました。(色々と理由はあるのでしょうが)

『ソーシャルワーカーが「物言わぬ労働者」であり続け、業界として連帯できないことで、不利益を被るのは誰か?』

社会福祉業界全体として、有力プレイヤーの可視化と、業界内をまとめていく・そして社会に対し、職業の社会的意義を訴求していくための、戦略的な2年間くらいのシナリオをプランニングしていく必要があると思うのです。

業界全体が、「したたか」に、業界にいる突出したプレイヤーを、いい意味で活用し、担ぎ上げる必要がある、それくらいのことを、全体像を描き、シナリオを書いていかなければ、と改めて感じました。

そういった意味で、少し前のニュースになりますが、「ソーシャルワーカーの養成3団体が2017年に統合 学校連盟は解散へ」という流れは、シナリオの序章としてはこれ以上ないものだとわたしは思います。(http://www.fukushishimbun.co.jp/topics/9521

次は、職能団体の統合だと思いつつ。。。


ですが、その統合のプロセスを、どのように可視化し、業界全体の人たちに、うまく、ひろく、訴求しながら、わたしたち彼ら彼女らが、そのプロセスの一旦を担う、という意をもつことができるようにすすめていけるかが、社会福祉業界が同じ方向をむき、強く長く太いベクトルを形成してくことができるかを決めるように思います。まさに、シナリオプランニングが必要です。

業界全体が、職能の利益ばかりを優先し、皆違う方向を向いていたら( お役所にではなく、社会の方を向かねば!)、業界全体として、国の社会福祉に関わる大きなうねり(ソーシャルアクション)を長期的に、粘り強く続けていけるはずなどないのですから。
現時点で、職能団体自体がうねりを生み出せないのなら、せめて、うねりを生み出そうとしている人たちの後方支援くらいはしようという気概をみせてほしいものです。(それをやらないようであれば、SCAで、そういった方たちを担ぎ上げますよ!笑)

『ソーシャルワーカーが「物言わぬ労働者」であり続け、業界として連帯できないことで、不利益を被るのは誰か?』

わかりきった答えです。

危機感を改めて抱くとともに、やらねばならぬことを再確認した、埼玉の晴れた午後でした。

【奥田氏の著作はこちら】

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