グッドプラクティスを広く共有する仕組みの必要性について

公開日: 2015/07/21 SCA ソーシャルアクション



長いです。文章雑です)
グッドプラクティスを広く共有する仕組みの必要性について改めて考えたこと。
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先日の日本ソーシャルワーク学会で、岡村紀宏氏(日本医療社会福祉協会理事、社会医療法人恵和会西岡病院医療福祉課課長、医療ソーシャルワーカー)が発表された【実践活動】「地域に必要な医療介護提供体制にソーシャルワーカーは何を発信し、どのように関わるか」が、全国のMSWに共有されるべき事例だと思ったので共有。



詳細はご興味ある方はお調べいたたければと思いますが、「とよひら・リンク」の発端が、西岡病院と近隣施設の間で交わされた「施設での看取りは難しい」という課題共有だった、ということは、まさに「個人の問題を社会化するプロセス」であったと感じました。
「とよひら・リンク」の事例は、医療機関側が、ソーシャルワーカーが、本人家族の意に沿うことのできなかった事例(という1つのケース)から、「施設の看取り体制の未整備」を見出し、その上で、自組織(医療機関)も含めた「地域のケアの課題」と大きく捉え、その上で、各施設と歩み寄っていったことからはじまった、ということが、(単に顔をあわせるだけの形骸化していない)広範囲のネットワーク形成につながったのだと思います。
一般病院に勤務するソーシャルワーカーであれば、特養や老健から入院してこられた患者さんが医療処置等の理由により、「看取れない」、「医療対応ができない」という理由で、元いた施設に戻れず、施設での看取りを希望していたご本人も家族も困惑されたり、ときに、事前に施設と取り交わした文書の通りにいかないことなどもあります。
こういったことを、医療機関の側が、「施設の体制不備」と切り捨てることは簡単だけれども、それでは、何も変わらないし、「自分たちは、地域における医療資源である」という意識のない医療機関では、「何も変えることはできない」と思う。
医療機関は医療資源を、地域の施設での看取り体制構築に対して、提供することで(研修等)、各施設でのお看取り事例が増え、地域全体のケア能力が底上げされていくわけで。
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詳細はホームページを参照ください。

【とよひら・りんく】
札幌市豊平区西岡・福住地区在宅医療連携拠点事業推進協議会(通称「とよひら・りんく」)は、平成23年6月、札幌市豊平区西岡・福住地区において、地域の医師、歯科医師、看護師、薬剤師、社会福祉士などの多職種協働による包括的かつ継続的な在宅医療の提供を目指すとともに、今後の在宅医療に関する政策立案や均てん化などに資することを目的に設立されました。
・多職種連携の課題に対する解決策の抽出
・在宅医療従事者の負担軽減の支援
・効率的な医療提供のための多職種連携
・在宅医療に関する地域住民への普及啓発
・在宅医療に従事する人材育成
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こういったツールも共同開発。
【自分らしく生きるために-もしものときに備えるシート-】
http://www.toyohiralink.jp/pdf/toyohiralink_moshimo.pdf…
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この事例を知った上での、私の問題意識は、このような日本全国どこででも起こり得る、というか日々起こっている問題に対して、ソーシャルワーカーたちが関わったグッドプラクティスが、業界全体で共有され、広く知られる仕組みがないことで、クライアントをはじめ、どれだけの人たちが苦労したのか、そして、日本全国の他の地域で、ゼロから同じような取り組みをしようとして資源投入の無駄があったのか、ということ。(とよひらリンクの事例は、私も病院のソーシャルワーカーであったが、知らなかった。診療圏域の施設と、患者さん家族の看取りや受け入れをテーマに施設間と会議をしたこともあったのにも関わらず。

【自分らしく生きるために-もしものときに備えるシート-】は、日本全国どこでも使えるいいツールだと思う。だが、とよひらリンクの事例に、検索キーワードでたどり着くのは至難の技。)
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いい事例から汎用化して学べることで、ショートカットできることを多々生み出すし、それによって生み出された時間は、もっと他の部分に投入できるはず。あるツールは使えばいいし、同じような問題に対する先駆的事例があるなら、それを実行した人々にコンタクトをとって教えを請えばいい。そっちのほうがゼロから考えるより、効率的だ。それからローカライズすればいいわけです。

とよひらリンクなどの事例は、学会誌や学会でしか見聞きできないのであれば、本当にもったいないことだ。

グッドプラクティスを、「現場の人が抱える問題」に即した形でひも付き、共有し、アクセスできる仕組みがあるだけで、もっといろいろなことがダイナミックに変わる気がしてならない。

そして、それを積み重ね、比較、そして一般化することで、より「実戦から生まれた知」が社会に生み出すインパクトは大きくなっていくことを考えると、現時点で、広く多くの現任者に共有できる仕組みがないことは、大きな損失なのだな、と。

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