「なぜ、ソーシャルワーカーに言語化する力が必要なのか?」という問いについて考える

公開日: 2013/04/29 MSW SW解体新书制作委员会 SW言語化ゼミ 思索 問いから言語化に至るプロセス




1.「なぜ、ソーシャルワーカーに言語化する力が必要なのか?」

私は、当ブログで一貫して、言語化の必要性を述べ続けてきた。現場7年目になる今、改めて上記の問いについて、向き合い、そのこたえを出すべく、本エントリを記した。


本エントリを読んでいただければ、HYという個人が、なぜ「言語化」にこだわり、その必要性を言葉にしているのかということが少しは理解していただけるのではないかと思っている。
以下、堅苦しい文章ではあるが、よろしければお付き合いいただきたい。



私は、ソーシャルワーカーは、「ソーシャル・チェンジエージェント」であるべきだと考えている。それは、言い換えれば、「社会を支える仕事から、社会を変える仕事へ」と表することが出来る。


そう思うまでには、懇意にしていた同業者のバーンアウトによる離職や、奥川幸子氏の著作「身体知と言語」との出会いがあった。ひとりのソーシャルワーカーとして、実践を積み重ねていくには、それを一旦外部化し、目に見える・他者と共有できる形で、積み重ねていく必要があると考え、結果、「言語化」という方法を採用するに至った。


それが、5年前に私が考えた「自分にとって、言語化する力が必要である理由」だ。
そして、それが、当ブログをはじめた大きな理由でもある。


2.ソーシャル・チェンジエージェントとして、為すべき行動

冒頭に述べた「ソーシャル・チェンジエージェント」という言葉には、「生活を送る上で困っている人に向き合うだけでなく、 困らせている社会の側にも目を向けよう」という意思を込めている。ここでいう社会とは、クライエントの視座からのものに限定せず、自分たちソーシャルワーカーからみた社会、そして、ソーシャルワーカーが個人として生きる社会も内包する。


以下、簡単ではあるが、ソーシャル・チェンジエージェントとして為すべき行動についてあげた。



【ソーシャル・チェンジ・エージェントとして、為すべき行動】

1.生活上の困りごとが生じる場面(状況)の分類化を試み、それに即し必要な情報の整理を行い、データベース化する。
(共有知を創り出し、共有性を持たせる)


2.様々な分野の専門職にクライエントを紹介することができるよう意識してつながりをもつ。
(援助者としての自己が有するネットワークを最適化する)


3.スタンドプレーではなく「誰と組めばクライエントの利益」を守れるかというチーム視点で物事を考える。
(常に、クライエントの問題解決に向けた最良のチームを結成できる素地を有する)


4.クライエントの変化に着目するために、まずは自分の変化を捉える訓練(日々の学びを発信する。考えたことを記録に残す等)を行う。
(最良のパフォーマンスを発揮するための自己覚知の方法を有する)


5.まずは身近での小さな変革を目指し、問題意識を持ち、それに対し、自ら行動を起こす。
(自分が置かれている現状を俯瞰し、問題や課題解決に必要な知や学びを得るための場を生み出す。発信する。)


ソーシャル・チェンジ・エージェントとして為す上記行動の全てのプロセスにおいて、言語化能力が必要だと私は結論付けた。



3.言語化能力の目指すべき段階、能力獲得により実現可能になる事柄

そして、言語化能力として、目指すべき段階、能力獲得により実現可能となる事柄を以下のように分類した。



【言語化により目指すべき段階】

1.    表出
2.    習慣化
3.    発信(発信者と受信者)
4.    共有化(複数)
5.    組織化(目的を有する特定の集団として)
6.    メディア化(目的を為すための媒体・媒質として)


現在、開催中の「ソーシャルワーク言語化ゼミ」では、1.2の「表出」と「習慣化」
を目的としている。それ以降のプロセスについての取り組みについても、現在企画中で
あり、今後告知を行なう予定である。





【言語化能力獲得により実現可能になる事柄】

1.    現場での実践力を高める(対・クライエント、他職種)
2.    職業的価値を獲得、自己覚知を為す(対・自分自身)
3.    各々の実践から得た学びを共有する(対・業界)
4.    教育的機能を高める(対・後輩、これから業界に入ってくる人たち)
5.    ソーシャルアクションを遂行する(対・社会)
6.    ソーシャルワーカーの社会的認知度を高める(対・社会)



4."社会を支える"そして、"社会を変える"


ソーシャル・チェンジエージェントとして、社会を支え、社会を変える。

"社会を支える" "社会を変える"
共に大切なことだ。

しかし、このプロセスは、言葉で言うほど容易ではない。
「"支える"から"変える"」そこに近道はない。
それは、多くの同業者の方であれば身に染みて感じていることだろう。
自分とて例外ではない。


だからこそ、個々の現場で働く人たちが、言葉にすることで、架け橋をつくるしかない。


「"社会を支える"から"社会を変える"」へ。


「社会を支える仕事から、社会を変える仕事へ」という視座を多くの人と共有したい。
ひとりだけでは、為し得ないことだからこそ、他者と協力し、協働し、共創する。


誰だって、言葉にすることはできる。
意思をもった言葉たちが、結集し、社会を変える。

わたしは、言葉の力を信じ、そして、これからもその信念(principles)に従い、自らの意思を言葉にし、仲間を得ながら、歩み続けていきたいと考えている。




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