簡易レポート)2015年度第32回日本ソーシャルワーク学会大会

公開日: 2015/07/18 学会 思索


本日は
2015年度第32回日本ソーシャルワーク学会大会へ。4団体の会長が各々挨拶をされましたが、単なる組織紹介で終わってしまっていたのが残念でした。

ですが、シンポジストの巣立ちの会(http://sudachikai.eco.to/about-sudachi.html)の
理事長 田尾有樹子氏の話は、圧巻でした。


「精神障害者の退院促進支援の実践から政策へ」という題で、巣立ちの会設立23年の歴史の中で出来た事・出来なかったことについてお話しされましたが、その中で以下のような言葉がありました。


「精神科の長期入院患者の社会的入院の解消は地域移行・退院促進では無理。
どんなに努力してもあまり成果はない。
病床が空けば入院させる。加えて、認知症の社会的入院が増加している。
精神病床の削減を本気で取り組むことが必至。」

(*認知症(アルツハイマー病または血管性など)による入院患者数は増加傾向にあり、平成8年から平成23年の間に約2万人増加し、5.3万人に。http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html
「だが、日本精神科病院協会との対立を恐れてきた感は拭いきれない」
それゆえ、「20年以上やってきたが、自分たちに失望している」と。


今は、少し疲れたので、行政や国へのソーシャルアクションはまた英気を養ってからにします、と笑ってらっしゃいましたが、理事長自身が20年間の事業に対して、強烈な自己批判をしていることから、「組織の安定性」ではなく、巣立ちの会にとって、「誰の、どのようなニーズのために、何をするのか」が常に最優先であったことがとてもよくわかりました。そんなお話でした。

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「認知症の社会的入院が増加している」

このことについては、自分自身の医療機関でのソーシャルワーカー経験においても理解でき、かつ、その一端を担いで来た感を拭いきれない。
自宅への退院が困難な患者さんが認知症による周辺症状などを理由に、介護施設への入所が困難な場合、精神科病院を生活の場(本来はそうではない)として検討してもらわざるを得ないことも多々あった。(*認知症の中核症状と周辺症状:https://info.ninchisho.net/symptom/s10
けれども、これはAがダメならBで、という、つまりは「今あるものの中に当てはめる」という考え方であって、現在は未だないCという選択肢を、診療圏の関係機関と共に考えるための場作りなどもしてこなかったな、と。
「認知症のある患者さんの生活の場を、精神科病院にせざるをえないのはなぜなのか」ということを、「受けてくれる介護施設がない」という現状の話ではなく、「どうすれば、この地域で、認知症のある患者さんの生活の場を整えていくべきか」という課題設定をし、地域包括支援センターや老健、小規模多機能型居宅介護事業所、そして他医療機関(精神科病院含む)と話し合うことのできる場や会議体をつくることを主導するということは、ミクロからメゾへの実践(パワー・ウィズ)であるわけで、色々な後悔(患者さんの顔)が思い出された。

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