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ソーシャルワーク業界の人材(新人)育成について考える〜組織が優秀なソーシャルワーカーを採用するための方法論と併せて〜

公開日: 2015/02/13 CSW CW MSW 教育 勝手にブックレビュー 読書記録


「忙しいから新卒採用はムリ。経験者が欲しい。実習生なんて受けていられない」

「新人や実習生に割く時間が取れない」

もし、キャリア15年、20年以上のTOPがおり、かつ人員もそれなりにいる組織において、このような言葉が交わされるのであれば、それはその組織自体が、現任者教育や学生教育を軽視している、もしくは人はいるけれど教えることはできないという組織の体力的に対応が難しいということの証左であると言えます。

本エントリでは、「ソーシャルワーク業界の人材(新人)育成について考える〜組織が優秀なソーシャルワーカーを採用するための方法論と併せて〜」と題し、私見を述べていこうと思います。





1.現場は忙しい


「現場はそれどころじゃない」
「現場は忙しい」
「新人教育や実習生にかける時間はない」


確かに現場は忙しいです。
だがしかし、「現場は〜」というのは、現場にいない人間の論をシャットアウトする、俗に言う思考停止ワードなのだと感じます。


組織内の教育的能力を向上させることは、
長い目で見て、組織としての能力をあげることになる。

上記は正論ではあっても、それを為すことがとても難しいという現場もまた存在します。

例えば、1人、2人職場で経験年数も2、3年の人間しかいない組織に、
新人を入職させ、そこで教育するというのは、業界全体の資源分布を考えると、
非常にナンセンスです。これは誰でもわかることです。


要するに、ひとつの組織の中で現任者教育を行おうとするからうまくいかないのであり、
職能団体がその補完的役割を担いきれていない以上、また違った仕組みを考える必要があります。


よく耳にする「経験者が欲しい」という言葉の裏には「私たちの組織は、新卒や、業界新人をいちから育てることはできないので、他の組織で育てられた即戦力が欲しい」という意味があるのです。




2.ソーシャルワーク業界の人材ニーズに対する仕組みの提案


「自分たちの組織で育てられないから、他の組織で育てられた即戦力が欲しい」
つまり、これは、ソーシャルワーク業界に存在するニーズなんですよね。


ひとつの組織の中で、教育的機能を整え、組織単位で、人材育成を行おうとするのは時間もお金もかかります。
自組織に教育を行える資源がないのに、新卒を雇っても、組織にとっても雇われる側にとってもいいことはあまりないように思います。


私が考える一案は、
「教育的資源を一番多く投入する必要のある時期(つまりは新人)の人材教育を一手に引き受ける組織」と、「そこで教育された人たちをその後受け入れる組織」という役割分担を行うべきだ、ということです。つまりは、仕組みをつくる、ということです。
その仕組み作りを、まずは地域を定め、モデル化してみる、ということです。


外資系コンサルティング会社を例に出すと、
ソーシャルワーカーとして10人くらいが毎年入職し、そのうち3年目にあがれるのは1、2人で、ほかの8人はがっつり教育を受け、そこで蓄えたものをもとに、いづれ他の組織に転職(卒業)していく、という感じです。


職能団体が、該当地域においてベテランが複数人在籍する組織を、教育基幹組織(「教育的資源を一番多く投入する必要のある時期(つまりは新人)の人材教育を一手に引き受ける組織」)として認定し、地域の大学から教授をスーパーバイザーとして送り込んだり、職能団体からも組織内研修を行う際の人材や費用のサポートを行います。


教育基幹組織(「教育的資源を一番多く投入する必要のある時期(つまりは新人)の人材教育を一手に引き受ける組織」)を引き受けることは、うまくやれば、組織としてのブランディングにもなるでしょう。


「あの組織を卒業した人間の多くが、他の組織の中核を担っている!」
という状況があるとしたら、それ自体が、教育を引き受けた組織へのブランディングとなります。それゆえ、「教育的資源を一番多く投入する必要のある時期(つまりは新人)の人材教育を一手に引き受ける組織」が、中長期的に有能でモチベーションの高い人たちを採用できる可能性が高まります。これは教育基幹組織が新卒を雇用するメリットになり得ます。(現に、このようなことをうまくやっている組織はいくつかあります)


「この組織に入れば、教育的サポートがしっかりしているので、入りたい!」という新卒学生が増えれば、例えば10人の応募に対し、組織としては中長期的に5人を選び低コストで雇い、4人は2年以内に卒業させ、残る1人をリーダー候補として組織に残して育てていく、などの戦略も立てられるかもしれません。


新卒を雇うコストのいくらかを、職能団体がサポートするということも考えられるかもしれません(いや、難しいでしょうね…)もしくは、組織が「徹底的で充実している教育の提供かつ一定期間後の組織からの卒業」を前提として雇うことで、給料を抑えることも考えられます。


(新人さんにとっては、2年間ばっちり研修・指導体制の整った組織で働くことで、自分の能力をあげることで市場価値を高め、その後のキャリアで得られる価値(選択肢や働き方、もしかしたら賃金も…、など)があがるのであれば、たかが1、2年給料が安いことくらい問題ないでしょう。それがイヤだという人はそもそも選考時にお断りすればいいだけのことです)




3.現任者教育は、現場、大学、職能団体が一致団結して取り組むべきこと


これには、もちろんデメリットもあります。
ソーシャルワークの仕事は非常に、属人的な側面が強いため、人の移動により、
その人間が持っていた経験値やネットワークなども合わせて、他の組織に移行されます。

人的ネットワークも継承がされず、人の移動とともに組織に残る資源は減るということは往々に起こり得ます。(ときに、組織内でのポジションを盤石なものにすべく人的ネットワークなどの移管を渋る人もいますね…笑)

これは非常にもったいないことなのですが、多くのソーシャルワーク業界の組織はそれに気づいていても具体策を取っていません。

まあこれは仕組みなどを考えればいいだけの話ですし、人材の流動性が高くなった方が、個人的にはいいと思っているのですが。
(過去エントリでも述べた通り、長く同じ組織にいると、多くの人にとっての成長曲線カーブはどうしても鈍化します。過去エントリ:ソーシャルワーカーとして成長し続けるために身に付けるべきたった1つのこと〜研修ジャンキーにならないために〜



大学の先生も週1回は、スーパーバイズとして、「教育的資源を一番多く投入する必要のある時期(つまりは新人)の人材教育を一手に引き受ける組織」に入っていくというのもアリでしょう。現場経験のない、もしくは少ないまま博士→大学に残るという先生たちの現場感を失わないための「橋」にもなり得るかもしれません。



本エントリでは、ソーシャルワーク業界の現任者教育の仕組みとして、

現場と大学と職能団体が一致団結し、「教育的資源を一番多く投入する必要のある時期(つまりは新人)の人材教育を一手に引き受ける組織」が教育基幹組織として、新卒を積極的に受け入れ(雇用し)、組織からの卒業を前提に1、2年で教育を行い、若干名が組織に残り、他の人は卒業組として、「そこで教育された人たちをその後受け入れる組織(即戦力が欲しい組織)」に移っていく。


「教育的資源を一番多く投入する必要のある時期(つまりは新人)の人材教育を一手に引き受ける組織」に職能団体や大学が経済的、教育的サポートを行う。



という一案をお伝えしました。



・実践現場
・教育的資源

この2つが、教育には必要です。


「教育的資源を一番多く投入する必要のある時期(つまりは新人)の人材教育を一手に引き受ける組織」を増やしていくには、職能団体がその主体になるのが妥当だと考えます。
(自領域の人的資源を一番把握していると思いますので)


ですが、このモデルは、1年2年で効果が目に見えて現れるものでもないと思いますので、長い目で、業界全体の成長と、現任者教育の未来を眺めることのできる視座が求められるように思います。

ですので、そういった泥臭く面倒臭い仕事は、誰もやらないのであれば、いずれSCAでやろうと考えています。(領域に特化しない広範囲なネットワークがあるからこそ、できることでもあるかもしれませんし。)




最後に、繰り返しになりますが、よく耳にする「経験者が欲しい」という言葉の裏には「私たちの組織は、新卒や、業界新人をいちから育てることはできないので、他の組織で育てられた即戦力が欲しい」という意味があります。


「経験者が欲しい」という一言からみえる業界全体の構造的問題を変えていかなければ、いつまで経っても、業界全体としての教育的機能は整っていきません。

いつまで経っても「経験者が欲しい」の一言から脱することができず、「よし!うちも4人体制になったし、○さんも3年目を迎えて成長もしっかりしてくれてるし、来年度は新卒の人を採用しよう!!」という言葉が組織から出てこなくなるように思います。



これは、業界に身を置く人たちみんなで考えていくべきことだと私は思っています。






【組織内人材育成について学ぶなら東大、中原教授の書籍がお薦めです!】





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