語彙力とソーシャルワーク〜語彙を増やすことで得られるもの〜

公開日: 2014/06/03 MSW コミュ論 教育 思索


本エントリでは、書く上で必要な「語彙」と、ソーシャルワーク実践との関連性について、お話をさせていただこうと思います。

【1.語彙を増やすことで得られるもの】



話す、書く上で語彙が多いに越したことはありません。
「語彙の豊富な人は、話し上手、書き上手」であることが多いというのは、多くの方が体感的にわかることではないかと思います。
語彙を増やすことは、言語化を多層的に行なう上でとても重要です。
語彙を増やす=多様な言葉で言語化できるということは、経験や体験をどう伝えるか、すなわち、伝え方の「差異」を生むことと同義だと言えます。どんな経験も体験も、それ自体を他者に伝えるには、基本的には言葉を用いるしかありません。

言葉によって体験や経験に枠組みを与えてあげると考えると、言葉にできない部分は、他者に伝える上では「なかったこと」になります。語彙が増えれば、相手に伝えることのできる言葉のバリエーションは増えていきます。





【2.語彙を増やすために...】



語彙を増やすには、新しい言葉に出会う環境に自分を置いてあげる他ありません。表現豊かな人(もしくは、自分の仕事と違う業界で働く人、異なるコミュニティに属する人)と話をする。本や新聞などの活字を読む。ニュース、ラジオを聞く。とにかく、多種多様な言葉・表現のシャワーを浴びることが一番です。

話をする。本を読む。活字にふれる。聴く。(言葉や表現を知る)
それと並行して書いてみる。(その言葉や表現を取り入れて書いてみる)

例えば、同じ著者の本を数冊読んでみると、著者が好む言葉や、根本にある主義主張というものが見えてきます。わたしがそのことにはじめて気がついたのは、高校の通学時間に宮部みゆきさんの小説を読むようになってからでした。

その当時刊行されていた宮部さんの作品はほとんど読破し(時代小説を除く)、宮部さんが好む表現や慣用句などを見つけてはほくそ笑んでいました。(ちなみに、「僥倖」を好んで使われていました。)

個人的な話が続いて恐縮ですが、学生の頃、太宰治の「人間失格」を読み、その文体を真似て、ショートストーリーを書いたりもしました。この人の書き方やスタイルを真似て書くとしたら、どのような表現を使い、どのような文章を書くだろうか、ということを想像し、いつも自分が使うことのない言葉や形式を意識して、書いてみることは、いつもと違う刺激を得るという意味では、有用だったなと思います。

いいな、と思った表現。うまいな、と思った表現。分り易いなと思った表現。そういった自分にとってプラスの印象を抱く言葉や表現をリストアップしたり、
書き写したり、もしくは、その表現を用いて、短い文章を書いてみたり...。 
そういったことを意識してみると、自然と語彙は増えていきます。


【3.語彙力とソーシャルワーク】 

そして、今回の語彙についての話は、ソーシャルワークについても関連付けられます。


ソーシャルワークにおいては、言語運用能力が、どのような場面においても、重要な要素になっています。面接における質問も、他者へのアプローチも、コミュニケーションも、それを構成しているのは言葉です。

だからこそ、面接技術ももちろん大切ですが、言葉、表現に対し、どう向き合い、どのような課題設定を自分に課すか、ということもソーシャルワーカーにとって大切なことだと考えます。

ソーシャルワーカーは、言葉を用いずに、その専門性を存分に発揮することが難しい職業であり、だからこそ、言葉をどのように扱い、コントロールするか、ということは、ソーシャルワークにおけるひとつのテーマのように思うのです。

少し堅い話になってしまいましたが、語彙力を得ること自体が、ソーシャルワークを行なう上での、基礎的な筋力を鍛える上で、大切だということも併せてお伝えをさせて
いただきました。

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