身体知 カラダをちゃんと使うと幸せがやってくる(Books)

公開日: 2012/04/14 勝手にブックレビュー 読書記録

今回は、内田樹氏と三砂ちづる氏の対談をまとめた「身体知-カラダをちゃんと使うと幸せがやってくる」について紹介します。以下、印象的だった部分をいくつか。

一緒にごはんを食べて味がしない関係

その人といっしょにご飯を食べたいかどうかということは「こわさ」を査定する手がかりになると思いますね。家族というのは基本的に「会食する集団」でしょう。デートというのも基本的に「一緒にごはんを食べにいくこと」ですよね。(中略)
男と女は一緒にご飯を食べるだけで、一緒にいられるかどうかはわかるんです。うまくゆかない相手だと、ごはんの味がしないから。「味がしない」というのは「この人と一緒にいても、あなたの心身のパフォーマンスは上がらないです」って身体がシグナルを送ってきているわけですから。 
いくら頭が「いっしょにいるほうがいい」というメッセージを送っても、消化器のほうが「いやだ」って言っている。だから、食事の時にたわいないことをしゃべっていても、やたら食が進んで、「おかわり」と言える時は、身体が「この人とは相性がいいよ」って教えてくれているんです。(P47-48)

「ごはん」は毎日食べるもの。「ご飯を誰と一緒に食べたいと思うか、食べるか」それによって身体が教えてくれることについて、なるほどなーと思いました。

身体って、それが自分の所有物であるという感覚が当たり前すぎて、「不調・不具合」については敏感なのに、日々の些細な変化やメッセージを受信する機能については、意識をしていかないとどんどん鈍くなり、退化していくように感じています。

息を吸う、吐く、話す、聞く、歩く、走る、伸ばす、縮む、投げる、取る、しゃがむ、飛ぶ、握る、離す、押す、引く…etc

「身体を意識する」ことをもうちょっと考えていきたいな、思わせられる一冊です。
三砂さんは「女性の妊娠・出産」について身体レベルでの発言をされているので、女性が読んだら、また違った視点での気づきがあるのかな、と思いました。

定点で見守る人

コミュニケーションって語彙のレベルで通じるものと、身体性で通じるものがあるでしょう。どちらかというと、非言語的なレベルのコミュニケーションのほうが重要だと僕は思うんです。語っている時の間であるとか、ピッチであるとか、響きであるとか、そういうもののほうが実際にそこで語られている言葉の意味よりも重要なメッセージを搬送している。 
身体レベルのメッセージは、言葉の意味をその時に理解できなくても、身体に入ってくる何年か経って、そのメッセージを理解できる段階までに成熟すると、はじめて言語化できる。 (P112) 

コミュニケーションをする際の身体的な「心地良さ・快」については、色々な要素があると思いますが、わたしはテンポ(上記で言うところのピッチ)が「心地よさ」を一緒につくりだす上で大切だなと感じています。(参照:テンポに着目しコミュニケーションを良好にする)


時間軸の中で、経験とその言語化を捉えるという視点は、体験が経験となり、経験が過去の経験となりゆき、そして語り直されるべき素材としての過去の経験として格納されるっていうループをイメージとして持つために必要な気がします。


このループのイメージが出来ていないと、言語化を急ぎ過ぎてしまうのだと思うのです。赤く実るまで待てない、青い美をもぎ取るような、そんな感じで、経験を強制的に言語でクリアカットしてしまう。これはもったいないし、辛い作業でもある気がするのです。


ものすごい簡素化して言うと「昔はああ思っていたけれど、今はこう思っているの」と語られる時の文脈こそが、経験→過去の経験→語り直されるべき素材としての過去の経験として格納される、というループのイメージを経た上での言語化なのだと私は思っています。


「身体」について考える上で、色々とヒントの多い一冊でした。




内容紹介(講談社HPより)
男手一つで子育てした内田樹と「オニババ」論の三砂ちづるが“おじさん”“おばさん”として提言!「いいから黙って結婚しなさい!」……なんで?

●変なおじさん、おばさんが役に立つ
●ネガティブなオーラから逃げる武道の感受性
●結婚の相手は結局誰でもいい
●何でオニババになっちゃうの?
●夫婦のエロス的結びつきから家庭がはじまる

大きな価値観の変動のなかで個人が幸せになるための条件を、気鋭の学者たちがそれぞれ1人のおとなとして、家庭人として提言。結婚や出産にも流行があり、悲しい思いやつらい経験をした前の世代へのいたわりの視線をもちつつ、日本人が培ってきた身体の知恵、日本文化のもつ他者への愛情や距離の取り方についてまとめていく。「いいから黙って」、結婚したり出産したり、家庭をもったりして見えてくる人生の味わいを若者たちに見失わせてはならない。


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