Books)「赤ちゃん縁組」で虐待死をなくす 愛知方式がつないだ命 (光文社新書) 矢満田 篤二 (著), 萬屋 育子 (著)

公開日: 2015/12/01 社会起業 勝手にブックレビュー 読書記録



明日の取材前のインプットとして。読了。

愛知県の児童相談所発の、児童福祉法の措置による里親委託ではない、養子縁組マッチング事業。

実親からの相談に生まれる前から乗り、養い親に子どもを託すまで、託した後もサポートを行う。本書は実際のケースも交えながら書かれており、里親の制度的理解と、現状について知るにはとっつきやすい一冊。



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⒈「児童虐待死」という社会問題
日本では毎年50人近くの子ども達が虐待死(うち半数が産まれたばかりの乳児)


2.なぜ、生まれたばかりの赤ちゃんを、母親は殺してしまうのか?

1)「望まない妊娠」
性犯罪被害や、相手に認知されないなど。

2)親自身が抱える社会的問題
親自身の社会的孤立や貧困、精神障害など。

3.児童虐待(死)の解決策のひとつとしての特別養子縁組
1)児童福祉法に基づく措置の里親制度と、「養親縁組あっせん(マッチング)」

司法統計によると、民間団体のあっせんなども含めた13年の成立件数は474件。研究班は、あっせんの中核を担う児相の動きが低調だと指摘し、「慢性的な職員不足の中で虐待対応に追われたり、経験を持つ専任職員が配置換えになったりするなど態勢上の問題が背景にある」としている。

全国の児童相談所が中心となってあっせんするが、都道府県などに届け出をした民間団体や医療機関が行う場合もある。司法統計によると、2012~14年の成立件数は年間300~500件台で推移している。
(2015/9/24 日経新聞 養子縁組あっせん、児童相談所の6割どまり 職員不足背景に )

2)普通養子縁組と特別養子縁組の違い(リンク先に詳しい)
http://www.babypocket.net/index.php…


4.里親委託の現状
日本は里親委託が圧倒的に少なく、児童養護施設に偏重(里親:施設、1:9)
児童福祉法で営利目的の活動が禁じられている(それゆえ、マッチングに乗り出すところが増えない)
児童相談所以外の、民間の特別養子縁組団体は、全国に15団体程度。行政からの支援は全くなく、養親からのマッチングフィーのみで運営しているため、どの団体も小規模。認知度や信頼性の問題もあると言われる。
<成果> 養子縁組マッチング件数 • 民間:127人(2011年) • 児相:303人(2011年) 民間団体へ䛾相談数 • 実親から:705件(2011 年) • 養親希望者から:1,588件 (2011年)


5.政策的動き
「養子縁組あっせん試案」(http://p.tl/y7vW)
出産後3ヶ月の特別養子縁組を禁じている。もしこの法案が通れば、民間の特別養子縁組団体は、出産後すぐのマッチングが不可能となる。
国際養子縁組を事実上禁止する規定である。海外では日本より障害児の受け入れに積極的であるなど、国際養子縁組が養子の最善の利益となりうることを踏まえると、養子縁組を国内に限定することには問題があると指摘されている。





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