援助者として研鑽するための”エア逐語録”作成のススメ
逐語録とは、発言等の一語一語を忠実にたどり、記録することをいいます。
クライエントとの面接場面の逐語録は、事例検討やスーパーバイズを受ける際の材料として用いられることがあります。
本エントリでは、アウトプット型の学びである「記憶をもとにした逐語録の作成」についてお伝えします。
私は現場2、3年目の頃、適宜、インテーク面接を逐語録に起こし、自分がインテーク面接をどのように行い、そして、どのようにアセスメントを行っているのかを振り返り、各ケースを比較するということを行っていました。
新人の頃、入院中の患者さんに対して、新しく担当になったケアマネージャーの方がインテーク面接を行う場面に同席をする機会があり、その際、私が展開しているインテーク面接との違いを感じたことがきっかけでした。
その患者さんのケースが終結した後に、自分の面接とケアマネージャーの面接を比較し、その違いについて、モヤモヤと言葉にできないものを明確化するために、自分とケアマネージャー両者の逐語録を記憶を引っ張りだして書き、それを材料に、当時の上司にスーパーバイズをお願いしました。
その後も、約1年間、自分がソーシャルワーカーとしてどのようなインテーク面接の枠組みをもち、どのような傾向があるのか、そのことについて知るために、逐語録を書き続けました。
やり方は至って単純。その日に行った患者さんやご家族との面接場面を、業務終了後に思い出して、書き起こすというものです。本来、逐語録は、面接場面の動画や音声の録画録音を、クライエントの同意を得て行ったり、面接のロールプレイ(模擬クライエントを誰かに行ってもらい行う練習)を録画録音して、それをもとに書き起こしますが、私の場合は、記憶に頼り、自分やクライエントが何を言ったかを思い出しながら、逐語録を書くということを行いました。
この場合、まずは、当然、面接場面を記憶しておく必要があります。これができないと、逐語録が書けません。最初は思い出せず、結果、穴の多い意味の通じない逐語録しか書けませんでしたが、続けていくうちに、穴の無い、意味も通る逐語録が書けるようになってきました。
記憶を頼りに逐語録を書くようになり気づいたのは、全ての場面や言葉尻を覚えることはできないので、キーポイント(重要)になる場面を覚えておくようになった、ということでした。それにより、『その面接の”キーポイント”になるところはどこだったか?』という振り返りを促す問いが常に生まれるようになりました。
記憶しておくには、たくさんのことに「気づいておく」必要があり、気づいたことが目印になり、記憶ができ、逐語録の情報量も多くなっていきました。
面接場面でクライエントの方と共有した場の空気感(穏やか、緊張、感情的等)や、表情、言葉、ソーシャルワーカーである自分の感情の動きなど、を記憶しておく、ということは、面接における、クライエントとの間で交わされる情報量を多くを捉えておく必要があります。これは、「気づく」=「無意識のことば化」の訓練にもなりました。
「気づく」について言えば、例えば、面接において、患者さんの家族が、「患者本人は1年くらい前から通院しなくなった」と口にしたとき、ソーシャルワーカーとして、その言葉に対して思う「なぜだろう?」はたくさんあります。 人は、とあることが「自分の問題である」と自覚しはじめて、解決に向けた行動を起こします。日常生活に弊害が生じたり、何かが今まで通り立ち行かなくなったときに、それが問題だと「認識する」のです。
この例について言えば、通院しなくなった事実を家族が「問題」として捉え、何かしらの行動を起こしていれば、入院という結果にはならなかったかもしれません。
その後も、約1年間、自分がソーシャルワーカーとしてどのようなインテーク面接の枠組みをもち、どのような傾向があるのか、そのことについて知るために、逐語録を書き続けました。
やり方は至って単純。その日に行った患者さんやご家族との面接場面を、業務終了後に思い出して、書き起こすというものです。本来、逐語録は、面接場面の動画や音声の録画録音を、クライエントの同意を得て行ったり、面接のロールプレイ(模擬クライエントを誰かに行ってもらい行う練習)を録画録音して、それをもとに書き起こしますが、私の場合は、記憶に頼り、自分やクライエントが何を言ったかを思い出しながら、逐語録を書くということを行いました。
この場合、まずは、当然、面接場面を記憶しておく必要があります。これができないと、逐語録が書けません。最初は思い出せず、結果、穴の多い意味の通じない逐語録しか書けませんでしたが、続けていくうちに、穴の無い、意味も通る逐語録が書けるようになってきました。
記憶を頼りに逐語録を書くようになり気づいたのは、全ての場面や言葉尻を覚えることはできないので、キーポイント(重要)になる場面を覚えておくようになった、ということでした。それにより、『その面接の”キーポイント”になるところはどこだったか?』という振り返りを促す問いが常に生まれるようになりました。
記憶しておくには、たくさんのことに「気づいておく」必要があり、気づいたことが目印になり、記憶ができ、逐語録の情報量も多くなっていきました。
面接場面でクライエントの方と共有した場の空気感(穏やか、緊張、感情的等)や、表情、言葉、ソーシャルワーカーである自分の感情の動きなど、を記憶しておく、ということは、面接における、クライエントとの間で交わされる情報量を多くを捉えておく必要があります。これは、「気づく」=「無意識のことば化」の訓練にもなりました。
「気づく」について言えば、例えば、面接において、患者さんの家族が、「患者本人は1年くらい前から通院しなくなった」と口にしたとき、ソーシャルワーカーとして、その言葉に対して思う「なぜだろう?」はたくさんあります。 人は、とあることが「自分の問題である」と自覚しはじめて、解決に向けた行動を起こします。日常生活に弊害が生じたり、何かが今まで通り立ち行かなくなったときに、それが問題だと「認識する」のです。
この例について言えば、通院しなくなった事実を家族が「問題」として捉え、何かしらの行動を起こしていれば、入院という結果にはならなかったかもしれません。
たった一言でも、そこにアンテナを張り巡らせ「気づく」ことで、目の前にいる人の生活の様子や、物事の捉え方を知るヒントになります。 そしてそういった情報を、しっかりと他職種や他機関を含めたチーム全体で共有することができれば、チームでのアプローチを行う上で有益なものになります。
記憶をもとにした逐語録は厳密には逐語ではありませんが、このやり方には、自主トレーニングとしての機能があります。「気づく」=「無意識のことば化」の訓練にもなりますし、自分の面接の持っていき方のスタイルなどの傾向を知る材料にもなります。
「記憶をもとにした逐語録の作成」は、慣れるまで大変で、地味な作業ですが、「気づく」と「書く」を共に行うことができますので、おすすめです。
【記録の書き方について学ぶならこの書籍が非常にお薦めです!】
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