『”なぜ、ソーシャルワーカーはソーシャルアクションできないのか?”という問いについて考える〜前編〜』

公開日: 2014/08/22 CSW MSW SCA 思索



『なぜソーシャルワーカーは、ソーシャルアクションできないのか?前編』
シリーズで3回お届け予定です。

………………………………………………………………………………………

現場1年目の頃、都庁で開催されたソーシャルワーカー向けのシンポジウムか何かで、
厚労省の老人保健福祉局の偉い人が言ってた一言が今でも脳裏にこびり付いています。


「みなさんが対応されているケースを、きちんと記録として残しておいてください。そしてそれをもとに、私たちに、国に、こういったことが問題だ、と言ってください。それがみなさんのひとつのアクションになるのだと思います 


というようなことを言っていて、「なるほど。言う通りだな」と思い、
ずっと、ずっと頭の隅にこびり付いていました。


あれから早7年。
少なくとも、ソーシャルワーク業界の誰もが「ソーシャルアクションだ」と認め、
敬意を表する大きなアクションは、何一つ耳にしていません。社会問題がこれほどまでに山積しているにも関わらず。


病児保育のNPO法人フローレンス(
http://www.florence.or.jp/)代表の駒崎さんが、
この一年でいったいいくつの制度改変に関わられたのかを思うと、「なぜ」という疑問符は拭えません。

………………………………………………………………


ですが、この疑問符についての、こたえは出ています。


組織に属して行うソーシャルワークは、「組織が有する機能」によって制限を受けます。
医療機関であれば、自らが属する医療機関が医療保険の中で提供できるサービス、介護保険の関連事業所であれば介護保険の中で提供できるサービスの中で、というように、機能主義的なソーシャルワーク、つまりは、機関の機能の枠に沿った援助に留まらざるを得ないという現状があります。

独立型の社会福祉士も増えてはいますが、組織の枠を超えて稼働できるとはいえども、
収益構造が既存の制度の枠に則るものであり、自身で事業化し新たな収益構造を生み出せない以上、組織に属して行われる機能主義的ソーシャルワークと大差はないでしょう。


ソーシャルアクションを考えるとき、この構造を抜きには何も語ることはできません。


このように組織の機能の枠に沿わざるを得ないソーシャルワークは、
ロビイングやソーシャルアクションを、組織の機能を枠を超えて成し得ることが難しいという側面があるのは明らかです。


上記のような機能主義的なソーシャルワークに留まらざるを得ないことの
多い日本のソーシャルワークの未来について考えたとき、ソーシャルアクションの機能を実行していくことができない現状が続くのは当然なのです。

………………………………………………………………


クライエントのすぐ傍にいるソーシャルワーカーたちには、
クライエントの声なき声を掬い上げ、社会に代弁するという責務があります。

ですが、それを阻害する要因なぞは、上記機能主義を含め、数えればきりがありません。


「どうすれば、クライエントの傍で、クライエントの声を掬い上げることのできるソーシャルワーカーたちが、
その声を代弁し、社会のシステムエラーを変えるための大きな渦を生み出すことができるのか?」


この問いに対して、今考えている仮の処方箋は2つあります。


各々のソーシャルワーカーが掬い上げたクライエントの声を集積するための”宛先”を創ること。


ソーシャルアクションのプロセスを分業化すること。



仮の処方箋を試行できるまで、おそらく最低3年はかかると考えています。
おそらくそう長くない間に、そのアウトラインをみなさんにお伝えすることができると思っています。



『なぜソーシャルワーカーは、ソーシャルアクションできないないのか?中編』に続きます。

………………………………………………………………………………………………

SCA発のメールマガジン→ご登録はこちらから!(登録者550間近!2014.8.22)
HYのメールマガジンに登録する→登録はこちら
  • ?±??G???g???[?d????u?b?N?}?[?N???A