Books)弱いつながり 〜検索ワードを探す旅〜 著:東浩紀氏

公開日: 2014/08/05 MSW SCA 勝手にブックレビュー 読書記録

浩紀氏の著作は、「動物化するポストモダン」、「一般意志2.0」、そして「弱いつながり」で3冊目。「存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて」は池袋のジュンク堂で過去に立ち読みして挫折した記憶が(笑)


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旅は「自分」ではなく、検索ワードを変える。

『身体がどういう環境にあるかで、検索する言葉は変わる。
欲望の状態で検索する言葉は変わり、見えてくる世界は変わる。
裏返して言えば、いくら情報に溢れていても、適切な欲望がないとどうしようもない。』

(本書内から抜粋)
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”適切な欲望”ってなかなかむずむずさせるいい言葉だな、と。

適切な欲望を見つけられない人の方が圧倒的多数だろうと思う。
溢れる情報は、個人の選択の機会を増やしてくれるようにみえて、
結局は個人の欲望をどこに焦点化させるかということを決めるための
フィルターを曇らることの方が多いように思う。

情報は溢れ、累乗的に増えていくけれど、
浴びる情報量に比べて、人間の行動できる量が増えるなんてことはあるはずがなくて。

でも、それを見誤って、浴びる情報が増えるに比例して、
細切れの時間を「何かで埋めたがる」
だから、アディクションまがいのソーシャルゲームとかが流行るのかもしれない。人間にとっての”快感”と”習慣”の意味を知り尽くした人間が、それをうまく扱いながら、儲けている昨今って、個人的にはあんまりいい気分はしない。
(でも、アディクションまがいのものがもつ構造でさえも、
その構造だけ取り出して、為すべきことのために、活かしてしまえばいいとさえ最近は思う)

何にせよ、情報をいくら集めたって、それは、何も決めてはくれない。
決めるのは自分で、情報の海に溺れて、うだうだしていると、
あっという間に時間は過ぎて、「考える時間」は削られ、減っていく。

情報を過食して、あれこれも「偶然の出会いもあるだろうから」
と欲張っていると、砂場から砂金を探す作業に時間は取られ、
「砂からどんな構造物を創るか」ということを考える時間は減る。
砂金で創りたいものがあればいいけれど、そうでなければ、
目の前にある砂で、構造物という未来を創ったほうがいいと思う。


よく聞く「偶然の出会いが自分を変えた」というのは、
所詮後付けの意味付けだと思う。


偶然のなにかを「必然たる出会い」に変えるために、
きっと、その人は、「考え続けてきた」はずなのだから。

だから、考えるべきなんだ。
自分で、考える。その行為の積み重ねこそが、自らが望む未来を拓く。

そんなことを考えさせてくれた良著。
東浩紀氏史上、一番読みやすいの(ご本人談)で万人におススメです。


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