ソーシャルワーカーが自己覚知をすすめる上で読んでおきたい書籍紹介【新書編vol2】

公開日: 2012/12/29 MSW ソーシャルワーカーが自己覚知をすすめる上で読んでおきたい書籍 勝手にブックレビュー 読書記録

ソーシャルワーカーが自己覚知をすすめる上で読んでおきたい書籍紹介!
今回は【新書編vol2】です。

記憶の整理術 著:榎本博明氏



以下、気になる箇所を抜粋、紹介します。

記憶というのは、オリジナルな出来事とは別に、記憶する人によって能動的につくられるのである(P27)


今の心理状態が変われば、思い出されることも変わるのである。(P38)


私たちの過去は写真やビデオ映像のような固定的なものではなく、ひとつの解釈であり、主観的な意味づけの産物である。(P44)


未来展望は、過去の実績に基づいて描かれる。ということになると、前向きの未来展望をもち、モチベーションを高めるためには、前向きの過去をもつことが必要ということになる。(P57)


回想記憶の効用は、プラスの感情と結びついた過去経験を引き出すことで、自分自身を勇気づけたり、モチベーションを高めるなど、自分の心理状態のコントロールに活かせるということである。(P61)


人生の良し悪しはライフイベントで決まるのではなく、それをどう意味づけるかで決まる。(P70)


「こうしたらうまくいった」、「こうするとうまくいくことが多い」というような、自分の強みをあらわすエピソードを記憶の中から拾いだしていくことである。それによって、「自分はこういうことが得意みたいだ」「自分にはこういうやり方が向いているみたいだ」といった自分の強みがはっきりしてくる。(P84)


記憶のすれ違いの背後に、欲求と知覚の関係が潜んでいることがある。同じものをみていても、その人の欲求の状態によって、見えているものが違っているのである(P112)


人によって趣味も関心も違うため、いろいろなタイプの人と情報交換をすることで、自分の記憶に広がりが生まれる(P116)


私たちの行動は自己イメージに強く規定されている。(P135)


何かを覚えようとする際には、淡々とせずに心を動かしながら覚えることを心がけるのがよい(P143)


快適な気分が保たれるように自分を守ってくれるのも、忘却の機能のひとつである。「昔はよかった」というように思い出が美しくなるのも「抑圧」のおかげである。(P169)


あらゆる判断・決断の背後に記憶があると言ったが、過去のエピソードをどれだけうまく整理し利用しやすくしているかが、課題解決能力を左右する。記憶が予想を可能にするのである(P217)



記憶について、心理学的見地から、書かれた一冊。


「記憶は過去の出来事をコピーして保存したものではなく
現在の経験や出来事から、どのように意味付けするかによって
する」

記憶は曖昧なものであるということ。
そして、記憶は書き換えられるということ。
その危うさ、そして、ポジティブな可能性。

個人的には、自身のナラティブ論を補強する上で
多くの示唆が含まれた一冊でした。

記憶の整理術とありますが、「整理術」的なメソッド
というよりも、「記憶」についての心理学的な
知識に溢れた内容になっています。


注釈にて、心理学的用語の説明等も豊富に書かれているので、
知識を得るための一冊としてもおすすめです。




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