ウェブ進化論(Books)
公開日: 2012/04/20 勝手にブックレビュー
著者である梅田望夫氏は本作の中で、ウェブの進化により、チープ革命(ブログなどの表現に必要なものが無料で手に入るようになる)が起こり、googleなどの検索エンジンにより、現代は、今までのようなジャーナリストや作家などの表現を職業としている人たちだけではなく、誰もが表現すれば不特定多数に届く「総表現社会」になっているのだと述べています。
第4章「ブログと総表現社会」から、いくつか個人的に共感した一文を紹介いたします。
また氏はfladdict.net blogの「知的生産性のツールとしてのブログ」という以下の文章を引用した上で、
と述べています。
組織と個とブログ(P161-)
誰かに初めて会う前には、検索エンジンを使って相手のことを調べ、その人に関するネット上の情報を前もって読んでおくというのは、個で仕事をする人の間では、ごくごく自然の振る舞いとなった。その意味でブログはこの信用創造装置としての役割を果たすようになりつつある。(中略)
知人と頻繁に会わずとも、またときに見ず知らずの相手とも、ある種の信頼関係を生み出し得る舞台装置のような意味を、ブログから強く感じる。(中略)
また氏はfladdict.net blogの「知的生産性のツールとしてのブログ」という以下の文章を引用した上で、
「実際ブログを書くという行為は、恐ろしい勢いで本人を成長させる。それはこの1年半の過程で身をもって実感した。(中略)ブログを通じて自分が学習した最大のことは、「自分がお金に変換できない情報やアイデアは、溜め込むよりも無料放出することで(無形の)大きな利益を得られる」ということに尽きると思う」
「まず個人にとってのオープンソースとかブログとは何か。それはポートフォリオであり、己の生き様がそのままプレゼンテーションの装置として機能する。(中略)記事を書き続けることで人との繋がりも生まれていく。」
情報は囲い込むべきものという発想に凝り固まった人には受容しにくい考え方であろう。しかし、長くブログを書き続けるという経験を持つ人たちにとっては、実感を伴って共感できる内容に違いない。ブログという舞台の上で知的成長の過程を公開することで、その人を取り巻く個と個の信頼関係が築かれていくのである。
と述べています。
私自身ブログを開設し5年目になりますが、ブログというツールは、自身の成長の軌跡を残すツールとして非常に優れていると思います。自身の思考や経験を表現し、発信していくことで、それらはWEB上にログとして積み重なり、自身の思考の変遷や自身の成長の軌跡を自分自身に教えてくれます。
これは、言わば、「自分はあのときこういった経験をし、こう思っていた。だから今、こういった考えを有しているのだ」というような、自分自身の「今現在」(今、自分が有している考え)に対して、「考え方の変遷のプロセス」(今に至るまでこのように考えてきた)という根拠を与えるためのトレーニングにもなるわけです。
そしてまた、それを読んだ人が、それは違うのではないかと問題意識を芽生えさせたり、現状を打開するためのヒントを得たり、ときに励まされたり、ということが起こる、ということが発信していくことで起こる副産物なのだと思います。
他者に対して開かれた自らの脳(オープンマインド)をWEB上に構築していくという作業が、ブログを書くという行為なのだと思っています。
自分自身の成長を願い、思考や経験を発信する、その軌跡を楽しんで没頭してやっていくというのは純粋な思いからスタートします。その純粋な思いが、誰かの助けになったり、誰かとのコラボレーションを生むきっかけになるのであれば、それ以上嬉しいことはないと思っています。
WEB上での発信ではないですが、書籍にてご自身の思考や経験を発信していた奥川幸子先生が、私にとっての「会って話したことは無いけれど、ポジティブな影響を与えてもらえる存在」となっています。
今も先生の書籍を読むと、その思考と経験が凝縮された純度の高い言語に圧倒され、多大なる学びを得ると共に、「よし!自分も頑張るぞ!」という気持ちにさせてくれるのです。
このように、書籍であれ、WEBであれ、自身の思考や経験を発信していくということは、直接会うことがなくても、不特定多数の人に対して何かを伝えることができる、という機会を生むのだと思います。
個人的な思いを強制する気はありませんが、もし、当ブログを何かしらの興味をもって見に来てくださるのであれば、若いソーシャルワーカーの皆さんには、ブログを開設し、自分自身の思考や経験を発信していくことをぜひお勧めしたいです。
つい、長くなってしまいました。(笑
ブログをはじめたよ!という方がおりましたら、ぜひお声かけくださーい!
内容
インターネットが登場して一〇年。いま、IT関連コストの劇的な低下=「チープ革命」と技術革新により、ネット社会が地殻変動を起こし、リアル世界との関係にも大きな変化が生じている。ネット参加者の急増とグーグルが牽引する検索技術の進化は、旧来の権威をつきくずし、「知」の世界の秩序を再編成しつつある。そして、ネット上にたまった富の再分配による全く新しい経済圏も生まれてきている。このウェブ時代をどう生きるか。ブログ、ロングテール、Web2.0などの新現象を読み解きながら、大変化の本質をとらえ、変化に創造的・積極的に対処する知恵を説く、待望の書。
目次
序章 ウェブ社会―本当の大変化はこれから始まる
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル―知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル―知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち
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