Books)『社会福祉概説(1976)』
公開日: 2015/02/11 勝手にブックレビュー 読書記録 歴史
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資本主義社会においては、いくら福祉を強調しても、経済そのものは自由主義経済の法則・資本の論理(利潤の最大化)に支配される。
今日のように自由主義経済体制下にあって、資本主義が独占状態にある現代日本の社会においては、独占資本が政治を媒介してその利潤確保をはかるために、政策決定過程のなかに政党を介して入ってくる。
したがって、政策主体がいくら福祉を強調してみても、資本の論理が支配するから、イギリスの福祉国家の例のように、福祉に費用を重い税金と保険料、そして受益者負担という形で勤労者に転嫁しなければならず、したがって何らかの経済的損益のバランスを考えずに福祉政策をとりあげることはほぼ不可能といってよい。
それゆえ政策主体は、社会福祉の対象が資本主義の機構から生み出された社会問題であることを認めても、社会問題に根ざした要求とその運動に対立せざるをえないし、このような要求を現在秩序の範囲内で処理しなければならないのである。
(本書内より一部抜粋)
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現在の日本の社会福祉業界は、現場の社会福祉従事者たちの意見を汲み上げ、政策主体に対し働きかけることができる運動主体が不在(日本社会福祉士会の組織率は約2割)であるため、福祉政策を決定する政策過程に介入する力が弱く、規模の大きいソーシャルアクションの実行が難しい状況にある。
・社会の隅々まで行き渡るセーフティネットを整備する
・福祉サービスの質と量を向上させる
→これはすなわち、憲法に規定された国民の「生存権」を擁護することに繋がる。
上記を為すためには、援助活動主体として対象者にサービスを提供する質の向上のみならず、社会の問題を発見し、政策主体に働きかけ変革するための運動主体を形成すること、そして、ソーシャルアクションを遂行することが必要不可欠である。
それ故、「個々の対人援助職の質の向上」、「政策主体に働きかけることのできる集団の形成」、より効果的なソーシャルアクションを創発させるための、「分業・協働型ソーシャルアクションモデルの構築」を目指さねばならない、と。
本書を読んでそんなことを考えた。
本書を読んでそんなことを考えた。
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