ソーシャルワーカーたちが社会に向けて発信する意義について考える(社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士)
公開日: 2015/01/24 ソーシャルアクション 思索
以前、社会福祉業界ではない方と話をした際に、聞かれたことがありました。
「自分たちは日頃からテレビや新聞等、メディア等で福祉の問題に触れている。社会福祉の現場の人たちが社会に問題を発信していくメリットは何ですか?」と。
その方の訝しげな顔には「社会の問題については日々多様なメディア等で情報を得ている。改めて社会福祉の現場の人間が言ったことを情報として新たに受け取る必要はない」という言葉が込められているようでした。
「社会福祉の現場の人たちが社会に問題を発信していくメリット(受信者にとっての)は何ですか?」
その方の訝しげな顔には「社会の問題については日々多様なメディア等で情報を得ている。改めて社会福祉の現場の人間が言ったことを情報として新たに受け取る必要はない」という言葉が込められているようでした。
「社会福祉の現場の人たちが社会に問題を発信していくメリット(受信者にとっての)は何ですか?」
この問いにみなさんはどうお考えになるでしょうか?
歴史の話になりますが、戦後、憲法で定める生存権のもと、社会福祉の法律は整備され、それに基づくサービス等を受けることができるようになりました。ですが、制度やサービスが存在しても、それ自体に容易にアクセスすることができなければ、本当の意味で生存権が守られていると言うことはできません。
ときに、マスメディアによる報道で、根拠のないイメージが先行し、制度やサービスを受ける人たちに対するスティグマ(世間から押しつけられた恥や負い目の烙印)が強まることがあります。
そんなとき、ソーシャルワーカーたちが根拠に基づく社会への発信を行うことで、スティグマが強まることを防ぐ。いや、そもそもスティグマの解消に向けて、社会への発信を続けていく必要がある、私はそう考えます。
この数年でも思い浮かぶことは数多くありました。
もちろん、すぐにスティグマの解消とまでいくことは難しいかもしれません。ですが、そのために私たち社会福祉に関わる人間たちにできることがある、という自覚をまずもつことからはじめなければいけないのかもしれません。
例えば、日本弁護士連合会の「生活保護の捕捉率を高め,憲法25条による生存権保障を実質化するための国の施策に関する意見書」『2014年(平成26年)6月19日』の中に、以下のような文章があります。
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スティグマの解消に向けて
(1) 生活保護利用者に対するスティグマ(世間から押しつけられた恥や負い目の烙印)を解消し,併せて生活保護制度に対する国民の信頼を確保するため,生活保護は,憲法25条に基づき,国による生存権保障を具体化す
る制度であり,何人に対しても無差別平等に,健康で文化的な最低限度の生活を権利として保障するものであることを,国民に対し,テレビ・ラジオ・インターネット・新聞・地方自治体の広報紙その他の媒体を通じて,分かり
やすく,十分に広報すること。
全文はこちらから(http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2014/opinion_140619_3.pdf)
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社会におけるセーフティネットの拡充とそのアクセスを容易にすることは両輪で成されるべきものです。物理的なアクセスのみではなく、個々人の精神的なアクセスのハードルを高めているのが、スティグマである以上、ソーシャルワーカーたちがそこに対してなにができるかを考えた時、やはり、社会への発信を行うべきだと思うのです。
社会の問題を当事者が声を大にして叫ぶことができない状況にあるだとしたら、誰がその声を代弁するのでしょうか?
ソーシャルワークの機能のひとつに「アドボカシー(代弁)」があります。
答えは、とうの昔に出ているのです。
とうの昔に答えに対する行動を起こさなければいけないと強く思います。
まずは、声に、言葉にするところからはじめるしかありません。
とうの昔に答えに対する行動を起こさなければいけないと強く思います。
まずは、声に、言葉にするところからはじめるしかありません。
まずは、そこから、です。
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