自分の専門性が生み出せる価値を最大化するには?〜児童支援専任教諭の先生の言葉から考える〜
先日横浜市の「児童支援専任教諭」の先生と話をしました。
「毎日、校門に校長と立って子どもたちを迎え入れるんですけど、昨日はなかったアザがあれば、すぐにわかりますし、あいさつの声ひとつで、あれ、この子いつもと違うぞってなりますし、いつもは元気な子が、やけに眠たそうだったり、夏なのに長袖だったり、服がいつもヨレヨレだったりすると、注意してその子を見たりするんですよ。
それでちょっとこれはっていうことがあったり、少し気になる子がいれば、区や児童相談所とかに相談するんです」
と、その先生が言ってたのを聞いて、”校門・定点スクリーニング”っていう造語が浮かび、児童支援専任教諭の先生が校門に立つ意味を考えました。
・いつも「いる」からこそ、気づくことがあることに自覚的であること。
・子どもたちの変化に気づき、その意味を評価すること。
・「学校現場だけで解決しようとせず、外にひらき、つなげる視点」をもっていること。
これってとってもソーシャルワーク的だなと思ったのです。
先日、知人のインクルーシブ教育者の方との間で以下のようコメントをしたのですが、「児童支援専任教諭」の先生と話をして、より自分の考えが補強された気がしました。
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当のご本人(クライエントや当事者の方たち)たちが有する「問題」(自覚されているもの、もしくは専門家を含む周りの人間たちがそうだと考えるもの)と称されるものが多層化すればするほど、専門家と呼ばれる登場人物は、増えていくのだなあと日々現場で感じます。
それゆえ、専門家たちには、都度、当のご本人たちが生きている生態系を可能な限り教えてもらった上で、「専門家としてどのようなポジション」をとるのか、という問いから、現場でのアクションをはじめなければならないような気がしています。
ここからは私の推察ですが、今後、専門家たちは、各々の専門性を深め、いつでもそれを発揮できるようにしつつ、それに加え、各自の専門性を可能な限り、他の専門家が活用可能になるように「汎化」して、付与し合える能力を高めていくことが求められるのだと考えています。
そうすることができなければ、チームとして他の専門家同士が一緒に仕事をした時間が、チーム全体としての能力を底上げする、という付加価値を生み出しにくくなりますし、そしてまた、1つの仕事が、次に為す仕事の価値を最大化し続けていくような仕事を積み上げ方をするには、専門家たち同士が、各々の専門性を構成する背景をきちんと表明し合いながら、活用できるものを交換し合いながら、積み重ねていく他無いように思うのです。
私は、極論、ソーシャルワーカーのように振る舞える先生(教師)がいれば(自分がその先生をそのように評価したならば)その教師に対して、ソーシャルワーカーである自分が、その先生のソーシャルワーク的能力を高めてもらうように働きかけ、どうしてもソーシャルワーカーである自分が前面に出て行く必要があるケースに対して注力する、という選択と集中をなすことで、「自分の専門性が生み出せる価値」を最大化するという振る舞いをすることを選ぶと思います。
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(以下、はまれぽcom より)
『いじめ、不登校、暴力行為など、さまざまな問題が小学校でも顕著になるにつれ、中学校のように専任の担当者が欲しいという声が、現場から強い要望として寄せられてきたそうだ。逆に、中学校で手法が確立されていたからこそ、ここまでスムーズな導入ができたと、伊藤さんは話す。
そんな「児童支援専任教諭」の最大の特徴は、通常週28時間ほどある授業のコマ数を12時間以内に減らし、その空いた時間で、いじめや不登校などの諸問題の解決に”専任”できることである。』
http://hamarepo.com/story.php?story_id=1758
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