現場が、優秀なソーシャルワーカー(社会福祉士)を採用するためにするべきたった1つのこと
現場でソーシャルワーカー(社会福祉士)を採用する側がするべきたった1つのこと
それは、「求人に付随する情報量を増やすこと」
これに尽きます。
以下、上記の理由について述べていきます。
1.ソーシャルワーカー(社会福祉士)の就職活動には情報量が少ない。
過去に、自分が県をまたいで転職活動したとき、各機関の情報量が少な過ぎて驚いた記憶があります。それゆえに、こじつけて志望理由を書かざるを得ない人も多いのだろうなと想像をしていました…。
この業界においては、就職活動の際に得られる情報の少なさが、”就職における求職者と機関の間のミスマッチ”を生じさせている気がしてなりません。
ソーシャルワーカーの就職活動におけるミスマッチを解消するためには、多機関による合同就職説明会の開催などが、その一助になると考えます。もちろん、人事担当者のみでなく、現任のソーシャルワーカーが参加することが必須です。
2.求人を出す側の視点を経験して考えたこと
最近、勤務先の病院で求人を募集していたのですが、告知すれども、ほとんど連絡が来ませんでした。これはマズイと思い、求人広告に出す文章を考え、某媒体に掲載したところ、7名の方から見学や面接希望の連絡が来ました。
文章を加えただけで、応募してくる人数が変わる。
この経験から、求人掲載文章に、志望理由を書く”フック”を用意することの意味を考えました。正直な話、”志望理由に関連付けられそうなキーワードを求人文章に盛り込む”という方法を用いただけだったのですが、すぐに反応があったのです。つまりは、情報量を多くしたわけです。
この経験から、求人掲載文章に、志望理由を書く”フック”を用意することの意味を考えました。正直な話、”志望理由に関連付けられそうなキーワードを求人文章に盛り込む”という方法を用いただけだったのですが、すぐに反応があったのです。つまりは、情報量を多くしたわけです。
3.ソーシャルワーカー業界の就活の現状
媒体に掲載されていた他機関の求人内容を見てみましたが、募集内容のみで、メッセージ性のある文章を掲載しているところは驚く程少なかったです。
勤務形態と、何人募集しているか。
それくらいしか情報として載っていないのです。
これでは、「この機関は本当に、人を求めているのか?」と思ってしまいます。
情報量の少なさと、どういった人材を求めているのか、ということが不明瞭で、伝わってこないのです。
この業界の就活は相変わらず、大学関係や実習関係からの縁故採用、大手のグループ病院の一括採用と、不定期の新卒採用が少々、という感じでしょうか。以下、日本医療社会福祉協会(MSWの職能団体のHP)のHPを見た感じでも、おそらく的外れではなさそうです。
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Q医療ソーシャルワーカーになるための就職活動はどうすればいいですか?
大学に求人情報が出されることはほとんどありません。また求人の時期についても、通常の「4年生の夏まで」ということはありません。求人の時期としては「前職者の退職に伴って補充する」場合は、6月や1月・2月に求人情報が出てくることになります。「増員で募集する」場合であっても、早くて11月、遅いと3月という 状況です。
Q医療ソーシャルワーカーについての求人情報を得ることは出来ますか?
求人情報は、ソーシャルワーカーの中で回ることが多いので、実習先のソーシャルワーカーなど関係者から情報を得ることができるようにすることが重要です。
当協会でも、「求人情報(会員以外の方はご覧頂けません。)」を掲載していますが、ほんの一部ですので、就職したい地域のソーシャルワーカーから直接情報を得ることができるようにすることだと思います。
当協会でも、「求人情報(会員以外の方はご覧頂けません。)」を掲載していますが、ほんの一部ですので、就職したい地域のソーシャルワーカーから直接情報を得ることができるようにすることだと思います。
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4.ソーシャルワーカーの就職活動におけるミスマッチを解消するために、採用する側ができること・すべきこと
上記のように、ソーシャルワーカーの就活が閉じた現状にある要因は、一般企業の恒例の新卒採用とは異なり、採用自体が、一大イベントであるからなのだと思っています。各機関内に少数であるソーシャルワーカー部門にとって、新しい人を迎え入れること自体が、慣れない、かつメリットとリスクを勘案した上で行なわれる大きなイベントなのです。
出来る限り、人となりのわかっている、そして出来れば優秀な人を迎え入れたいという思考が、縁故採用や実習生の採用に繋がるのです。これは、”ミスマッチ”を最小限に抑えた、リスクを回避できる方法でもあります。
ですが、多くの求職者の方に情報をオープンにしていかなければ、人材の流動性は高まりませんし、(同じ機関に長く勤めることが悪いことではありませんが)ソーシャルワーカー市場の規模は大きくならないようにも思います。
複雑化する社会において、ソーシャルワーカーの社会的要請が高まることは目に見えています。だからこそ、業界全体として、有能な人材を多く、この業界に迎え入れるにはどうするべきかということを考えるべきです。
”就職における求職者と機関の間のミスマッチをなくす”ということを目的として、多機関による合同就職説明会の開催をいづれ企画したいと考えています。
例えば、ソーシャルワーカーを採用したい機関約10カ所と共に、合同就職説明会を実施し、実際に現任のソーシャルワーカーから話を聞いたり、各機関のブースで、学生や求職者が質問できたり。逆に、機関側から求職者にアプローチしたりすることもできるでしょう。(事前に、説明会参加の求職者の方に、プロフィールシートなどを提出してもらったりすると、参加する機関にとっても、気になる人をピックアップできたりするかもしれません)
また、そういったところに参加する機関=意識のある機関・ソーシャルワーク部門ということもできるでしょうし。インターンシップを行なった上で採用を考えたいという意向を持っている機関があれば、学生さんを募ることもできるでしょう。
求人を出している機関へ売り込む。
協賛企業(人材派遣会社などかな?)を見つける。
本気でやろうとすれば、そこまで難しいことではないと思いますし、そういった既成事実をつくることで、この業界の就職活動が、もっとオープンで、かつ、求職者と求人を出す機関、双方にとって、よいものになるのではと考えています。
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