【話を聴くために必要なことシリーズ3 -面接における質問について考えよう】

公開日: 2013/02/24 MSW 思索 話を聴くために必要なことシリーズ

「HYが1年目の新人ソーシャルワーカーさんの教育サポート係になったら〜」と仮定しお送りしている【話を聴くために必要なことシリーズ】

過去エントリ:
話を聴くために必要なことシリーズ1-面接導入編-】
【話を聴くために必要なことシリーズ2 -クライエントに語ってもらうために気をつけるべきこと】

第3回の今回は、「面接における質問について考えよう」と題し、面接場面でソーシャルワーカーが行う「質問」の定義を考えていこうと思います。




【結論】

ソーシャルワーカーが行なう質問はクライエントと共に解決していくべき問題を、明確化するために行なう専門的行為」です。

つまりは、クライエントと共に援助過程を経る上での、見取り図(どういった困りごと、問題があり、それにより現状がどうなっていて、まずどの問題に、どのような方法で手をつけていったらよいか)を、より細部までつくりあげるために行なう行為であると言えます。


なぜ、質問という行為が必要なのか?


クライエントの語りだけでは、ソーシャルワーカーが、その方が置かれている現状や有している問題について、ぼんやりとしかみえない状況である場合、そこになにが映っているのかがわからない状況においては、何が映っているのかをよりはっきりさせるための方法が必要になります。


クライエントの「実感としての今現在」は、クライエントにしかわからないことです。ときに、クライエント自身も混乱したり、迷ったり、自分自身のことについて、整理できないときもあります(人はみな多かれ少なかれそういったことを経験していますよね)


だからこそ、いくらソーシャルワーカーが対人援助の専門家であったとしても、クライエントのことは、クライエントに教えてもらうしかないのです。


客観的事実がいくらあろうとも、客観的事実だけでは援助過程はスタートしません。
主観的なクライエントの語りから、教えてもらえる情報(これは意思や気持ちや感情を含みます)がなければ、客観的事実なんぞ無意味に帰するわけです。(危機的介入等は別ですが)


上記を踏まえた上で、だからこそ、ソーシャルワーカーがクライエントに対し質問をすることで、クライエントと共に解決していくべき問題を明確化させていく必要があります。

【質問は、クライエントに関する情報を収集することだけが目的ではない】

クライエントに関する「情報収集」は確かに大切なことです。
現に、職場によっては、クライエントの情報を面接場面で聞き取り記入するインテーク(アセスメント)シートというものがあります。


これは、シートの項目を埋めるのが目的ではなく、ソーシャルワーカーが、クライエントに対する質問を行なうのを補助し、クライエントと共に解決していくべき問題を明確化する」ことをサポートしてくれるものです。


【質問には、根拠が必要だ】

ソーシャルワーカーがクライエントにする質問には根拠がなければなりません。
言い換えれば、「なぜ、あなたは私にそのことを質問するのですか?」ということをクライエントから逆に質問されたとき、その質問に答えられなければならないのです。


そういった場面に遭遇することはそう多くはないと思いますが、ソーシャルワーカーが行なう質問は、興味や関心からくるものではなく、クライエントと共に解決していくべき問題を明確化するという目的のもとに為されている専門的行為」なのだ、ということを心に留めておく必要があります。


援助過程において必要だという根拠があった上での質問だからこそ、ソーシャルワーカー側も、臆すること無く、それがクライエントにとって答えづらいと想像される内容であったとしても、「質問することができる」のです。


日々の面接の中で、クライエントに対しおこなう質問という行為。
その定義や構造を考えることは、自分がおこなった質問についての振り返りをする上でもより意味のあることです。


これを機に、ご自身が面接場面でおこなっている質問について、少し振り返ってみませんか?きっと、色々な気づきがあるはずです。





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