かかわりの知能指数(Books)
公開日: 2012/04/18 勝手にブックレビュー
今回の勝手にブックレビューでは「かかわりの知能指数」を紹介します。本作では、21世紀日本人の「新しい幸せのかたち」として、「SQ(Social Quotient)」=「かかわりの知能指数」という概念を用いています。
著者は「カーニヴァル化する社会」でも有名な社会学者の鈴木謙介氏
著者は「カーニヴァル化する社会」でも有名な社会学者の鈴木謙介氏
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「IQ(知能指数)」「EQ(こころの知能指数)」から「SQ(かかわりの知能指数)」の時代へ!
●なぜ、若者たちはお金より人の役に立つ仕事を望むのか?
●なぜ、女性たちは高級外車よりエコカーを“カッコいい”と思うのか?
●なぜ、父親たちは郊外のマイホームより職場の近くに住むことを望むのか?
TBSラジオ「文化系トークラジオLife」、NHK「青春リアル」でメインパーソナリティを務め、若年層の圧倒的支持を集める気鋭の社会学者が10,000人の社会調査データを基に描きだす、21世紀、日本人の「新しい幸せのかたち」。
(著作紹介より抜粋)
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本作では、消費社会の変遷から、衣食住、人間関係について、SQという概念を用いて、具体的な未来像を描いています。以下、「幸福度を高める社会貢献四つの要素」について、なるほど、と思ったので引用をしてみます。
幸福度を高める社会貢献四つの要素 (P41-48)
1.献=「他者への貢献」
自分さえよければいいという考えではなく、他者への支援を望む
2.広=「広範囲で協力」
家族や友人関係をより広いかかわりを志向。
3.心=「モノより心」
数字で表される貢献ではなく、それが体現する「心」を重視
4.次=「次世代志向」
現在ではなく、未来を考えて行動
基本的態度
わが身を犠牲にするのではなく、お互いに協力関係を築きたいと考える
20代、30代の方々にとっては、「うんうん」と頷けるところが多いのではないのでしょうか。
特に「貢献」というのは最近改めて色々な場面で耳にするキーワードだなと思います。
「give and take」「 give and give 」ではなく、「貢献(contribution)」
「与える、もらう」という概念ではなく、他者への「貢献(contribution)」を考え、行動をする。それにより、対人関係や、人的ネットワークが広がっていく。
以前に紹介した「脳が冴える15の習慣」の中に、
「誰の役に立つのか」を重視するというのは、つまり、そのアイデアによって喜ばせられる対象をはっきりさせることです。
という一文がありました。
まさに「貢献(contribution)」を考えるにあたり、重要なのは上記の視点なのだと思います。
今の自分の持ちうる何かが、はたまた存在が、「誰の役に立つのか」
自分自身のアイデアによって、喜ばせられる人は誰なのか
上記を考えることが、「他者への貢献」を考える上での第一歩になる。
そう思っています。
自分自身の強みを見つける、とよく言いますが、これもまた突詰めて考えてみると、「他者への貢献」をしたい、という現代のSQ的幸福度を高める社会貢献四つの要素からくるものなのかな、と本作を読んで思いました。
と、「貢献」ついてフォーカスし過ぎてしまいましたが、本作は、SQ(かかわりの知能指数)について考える上でも有用ですが、消費社会の幸福の尺度が、どのように変化し、SQ時代の「新しい幸せのかたち」に変遷していこうとしているのかを学ぶ上でもとてもわかりやすい一冊だなと思います。
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