面接法(Books)

公開日: 2012/04/10 MSW 勝手にブックレビュー 読書記録

私が個人的に、同業者の方におすすめしている書籍が2冊あります。一冊は、言わずもがな、奥川幸子先生の「身体知と言語」です。


そしてもう一冊が、熊倉伸宏氏の「面接法」です。

「面接法」については、以前にも当Blogで紹介をさせていただきました。

精神科医である熊倉氏が「面接とは?」ということについて、極力専門用語に傾倒せず、平易な言葉で書かれた、おそらく現場1年目のソーシャルワーカーの方であっても、言っている内容の理解はできるであろう、驚くべき、シンプルな「面接法」についての一冊です。以下、一部抜粋です。


一人の平凡な人間が、専門家であると名乗って、もう一人の人間の相談に乗ること。それが面接者の仕事である。そしてそれが難しいのである。(P4)
まず、面接によって得られる情報を、主観的所見、生活史、家族歴等、観察所見、面接外所見に分ける。(P38)   
   主観的所見 = 訴え
   本人から得られる情報 = 生活史・家族歴
         観察所見 = 外見(体型、服装、印象等)・姿勢・態度・振る舞い・表情・話し方(思考形式・感情状態・気分)+徴候
         面接外所見 = 来談経路 + 紹介状 + 家族面接など   
面接 = 聞くこと + 見ること + 対等な出会い + 専門的関係 +ストーリーを読むこと (P48)


熊倉氏は、面接を構造化することの大切さを説いています。私自身も、面接を構造化し、その要素がそれぞれどのような意味を成しているか、ということを考えることで、 より構造化された面接を立体的に捉えることができるようになったと感じています。




本の最後の2章、「面接理論を学ぶこと」、「ケース・レポートを書くこと」の中では、日々の臨床で得た学びを、どのように落とし込んでいくか、その意味についても書かれています。


私は「面接を構造化する」という視点を得るにあたり、熊倉氏の「面接法」に非常に大きな影響を受けました。定期的に読み返しては、その時々で、気づくこと、わかることに違いがあり、自分自身の変化を知るためのよいバロメーター的な一冊になっています。


先人たちが書かれた多くの書籍を読み、自分にとっての「最良の一冊」を見つける。
その一冊を読み込んでみる。読み返してみる。そんな経験も、自身の変化に気づく上で、とても大切な経験になると考えています。


みなさんの「最良の一冊」もお教えいただけたら嬉しいです。
おすすめがありましたらぜひ!


面接法
熊倉伸宏/著
≪124ページ≫

―目 次―
I.はじめに
II.面接とは
III.面接の実際
IV.面接で得られる情報
V.面接の構成要素
VI.面接の展開
VII.面接理論を学ぶこと
VIII.ケース・レポートを書くこと


(内容説明)
これは、心の相談のための面接の本である。どこでも、だれでもが受け入れるような常識的で基礎的な技法について、「人と人との出会い」という原点に立ち戻って論じてある。読者は臨床心理士、医師、社会福祉士、看護者・保健婦及びそれを専攻する学生、及び、それを教えている人たちである。しかし、それ以外にも、人間に強い関心を持つ方には読んでいただきたいと思う。私自身は、他分野の方が書いた書物から、面接について多くを学んだ経験を持つからである。この本の特徴は第一に、面接法とケース・スタディについて説明している。





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