クライエントとの約束をきちんと守っていますか?
公開日: 2016/01/06 CSW MSW 教育 新人さん向け
ある日、退院の準備をお手伝いしていた患者さんの奥さんから電話があり、以下のようなやり取りをしました。
奥さん:「明日、ケアマネージャーさんと一緒に夫に会いに病院に行きます。○時頃になると思います」
私:「そうですか。病棟の看護師さんに伝えておきます。私も行けたら伺いますね」
奥さん:「お待ちしています」
当日、私はそのことをすっかり忘れ、他の予定を入れてしまっていました。曖昧な返事をしたこともあり、頭の中から抜け落ちてしまっていたのです。その後、患者さんは無事自宅へ退院をしました。
それから2ヶ月後。奥さんから電話がありました。「主人が、亡くなりました」という一言から、自宅での療養の様子をひとしきり語られた後、奥さんが言った言葉が忘れられません。「以前、入院中に、ケアマネージャーさんが来てくださったとき、HYさんは来てくださいませんでしたよね。主人も私も待っていたんですよ。日時もお伝えしていたのに」と。
患者さんが亡き今、なぜ、こういった言葉を奥さんが私に対して口にしたのかということが、電話の最中には理解できず、ただただ気まずさだけが残りました。なぜ、気づくことができなかったのか。自身の内省不足を痛感した、教えていただいた電話でした。
みなさんは、クライエントとの約束をきちんと守っていますか?
【学んだこと】
どんな些細な約束であれ、クライエントとした約束は必ず守る。
約束を守ることが難しい事態になった場合は、きちんとその理由を説明する。
【当時、そのとき思ったこと】
奥さんは、なんであんなことを言ったのだろう。患者さんが亡くなって悲しかったのだろうか…。自分にもなにか落ち度があったのだろう…。
【今振り返って,思うこと】
今思えば、奥さんは私に、「私たちは、あなたを信頼していたのに、あなたは私たちのことを蔑ろにしていたのでしょう。だから、私たちは悲しかった」ということを伝えたかったのかもしれません。信頼関係を築くには両者の努力が必要ですが、それを壊すのは容易にできるのだということに痛いほど気づかされた患者さんご家族との出会いでした。
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