(Books)社会システム理論: 不透明な社会を捉える知の技法 (リアリティ・プラス) 井庭崇 (著),

公開日: 2014/04/07 勝手にブックレビュー 読書記録

ソーシャルアクションについて考えるにあたり再読。




ソーシャルワーカーが、日々出会うクライエントは、自身が有している能力やネットワーク等の資源だけでは対処が難しい生活上の問題を抱えている。そして、生活上の問題は、クライエントとクライエントを取り巻く環境の中で生じる。環境は社会の中に位置するものであり、クライエントとクライエントを取り巻く環境は、広義には、社会システムの中に位置づいている。


入職してすぐの頃突きつけられたのは、「家族というシステム」だった。


家族というシステムは比喩的表現を用いて言えば、ハンモックの網のよう。


どこに重心(システムの上位下位。役割期待の大小等)がかかっているか、ほころび(どこが負担過多か)がどこに生じているか、などを見定める。そして、今までは安定したシステムとして機能してたそのものが、なぜ機能不全を起こしているのかということを考えていく。



家族の構成員たちだけでは、自然回復できないほころびに対して、さまざまな資源(ヒト・モノ・制度)を投入し、そのほころびを保護したり、またはほころびが生じている部位自体を取り替えたり…。そういったイメージを私個人はもっている。


家族というシステムの網の目は、構成員同士の関係性や、各々の役割期待、物理的な遂行機能能力など、そういったものが絡み合って、織り成されている。


それゆえ、「ヒト・モノ・制度」のどれが、システムに対する保護材、緩衝剤、代替材として適切かは、どこのほころびかによって異なる。そしてまた、"家族機能の外部化"という言葉はまさに家族をシステム化してみたときに、腑に落ちる概念だと改めて思う。


システム論的なものの見方は、ソーシャルワーカーとクライエントという二者関係の中で”閉じる”ことを防いでくれるように思う。閉じていては、システムに対する批判的な見方は難しくなるし、それゆえ、外に向けてアクションを起こすことは難しくなる、そんなことを考えた。




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