ソーシャルワーカーが社会を変える-”社会”のシステムエラーに対抗する"Social Change Agent System"を創り出す-
公開日: 2013/11/02 MSW SCA イベント キャリアデザイン 教育 思索 実践知プレゼン
「いつの世も、ソーシャルワーカーは、
クライエントの背中に存在する社会の不条理さをクライエントを通して知る。
知ったからには、そのままにはしておけない。」
「いつの世も、ソーシャルワーカーは、
クライエントの背中に存在する社会の不条理さをクライエントを通して知る。
知ったからには、そのままにはしておけない。
知る、行動する、社会へ発信する。
Social Change Agencyは、そんな人材を増やしたい。 」
そして、7年の時を経て、最後の2行が加わった。
今、思うことを記してみたい。
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目次
1.弛緩されゆく援助者としての醜い身体を浄化し、再生させるための、”System”
2.クライエントが有する問題の出荷元は、”社会”だ。
3.”社会”のシステムエラーに対抗する"Social Change Agent System"
4.懐古主義を捨て、合理的に、日本のソーシャルワークの今を思考しよう。
5.日本のソーシャルワークを書き換える。
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1.弛緩されゆく援助者としての醜い身体を浄化し、再生させるための、”System”
私は、医療機関のソーシャルワーカーである。
現場経験しかない生粋の、現場で純粋培養されたソーシャルワーカーだ。
面接ができるようになる。
情報収集ができるようになる。
組織内で立ち回れるようになる。
なんとなくの結果みたいなものが出せる。
そして、それはいつの間にか”ルーチン”となっていき、
なんとなく、日々のルーチンを回せるようになったとき、
私の思考は、霞みがかり、劣化していった。
ルーチンは、思考を停止させるのに充分な威力を持つ。
その威力は恐ろしいものだ。ルーチンは足をぬるま湯に浸からせ、
援助者としてのカラダを醜い程、弛緩させる。
私は怖かった。日々、弛緩していくカラダを、ぬるま湯から引き戻すために、
日々のルーチンに抗うように、常に、常に、”問い”を立て続けてきた。
立て続けてきた”問い”たちは、主である私に行動を求め、
導くままに行動を重ねた時間が、Social Change Agency を生んだ。
Social Change Agencyは、私の弛緩されゆく援助者としての醜い身体を
浄化し、再生させるための、”System”でもあったのだ。
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2.クライエントが有する問題の出荷元は、”社会”だ。
ソーシャルワーカーが対峙するクライエントは、
何かしらの「問題」を有している。
ここでいう”問題”とは、クライエントが日常生活を営む上で、
自身の力、自身の既存の資源では、解決・軽減が難しいものを指す。
問題は再生産され続け、出荷された”問題”を口にし、
システムエラーを起こしたクライエントと、ソーシャルワーカーは日々対峙する。
再生産され続ける問題の出荷元を突き止め、
そこを押さえなければ、問題は永遠に再生産され続ける。
クライエントが有する問題の出荷元は、”社会”だ。
私たちソーシャルワーカーは、”社会”が出荷した問題を口にして、
システムエラーを起こしたクライエントに日々出会う。
出荷元である"社会”にエラーがあるのであれば、
クライエントの背中に存在する”社会”の不条理さを、誰よりもクライエントに
近いところで、見ているはずであるソーシャルワーカーは、
そのエラーを修正し、システムを書き換えることができるはずだ。
しかし、現状、そうはなっていない。
なぜだ。おかしいだろう?
それは、クライエントの背中にある"社会”のエラーを
見つめる”鋭い目”が欠如しているからだ。
優しさの眼だけでは、1人は支えられても、10000人は支えられない。
"社会”のエラーを見つめる”鋭い目”を同時に併せ持たなければ、
社会を、10000人を支えるシステムに書き換えることはできない。
クライエントを包み込む”優しさの眼”
クライエントの背後にある"社会”のエラーを見つめる”鋭い目”
ふたつの眼で、クライエントと、その背後にある社会を「見る」
ふたつの眼でクライエントを見ることができないと,
クライエントの背後にある"社会”のエラーを修正・書き換えるための
行動には打って立てない。
これでは、ソーシャルワーカーは、”社会”のシステムエラーに対抗できない。
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3.”社会”のシステムエラーに対抗する"Social Change Agent System"
Social Change Agencyはミッションとして、
『”Social Worker”として社会を支え、"Social Change Agent"として社会を変えよう。』
と、掲げている。
日本において、”Social Worker”から、"Social Change Agent"へ駆け上がるための方法を、今まで、誰も体系化してこなかった。
クライエントの背後にある"社会”のシステムエラーを見つめる”鋭い目”を
養うためのコトバでさえ、体系的に語られてこなかった。
”社会”のシステムエラーには、それ相応のシステムで対抗する必要がある。
そのシステムこそ、"Social Change Agent System"だ。
”Social Worker”として社会を支え、"Social Change Agent"として社会を変える人材を日本に増やし、”社会”のシステムエラーに対抗する、日本全体としての"Social Change Agent System"を、創らなければならない。
"Social Change Agent System"は、「待ち」のコードではなく、
”社会”のシステムエラーに対抗することのできる「攻め」のコードが埋め込まれている。
「攻め」のコードとは、"Social Change Agent"たちの行動の集積に他ならない。
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4.懐古主義を捨て、合理的に、日本のソーシャルワークの今を思考しよう。
私は、”Social Change Agent”には、なれない。
そして、なる必要も無い。
私には、実践、教育・研究・社会活動,全ての言語を併せ持つ超二流を目指し、
”社会”のシステムエラーに対抗する、"Social Change Agent System"を創り出すために、多様な人材を”Social Change Agency”に巻き込み、上昇し続けるエンジンとなるという使命がある。
私は、日本のソーシャルワーカーの養成方法が、
現代にそぐわないものになってきているとさえ感じている。
社会問題は多層化・複雑化し、変化し続ける。
だとしたら、現場で稼働するソーシャルワーカーの養成方法もまた、変化していくべきだ。
学部教育から変えていく必要もあるやもしれない。
歴史から学び、偉大なる先達たちから継承されたソーシャルワークの価値や倫理はもちろん大切だ。現場に立つソーシャルワーカーたち全てが大切に引き継いでいくべきものだ。
だがしかし、価値や倫理だけでは、クライエントの生活は変わらない。
価値や倫理は、援助者側の論理であって、極論、クライエントにとっては、
「自分たちだけでは対処が困難な問題が解決、軽減し、明日も、生活が営んでいけること」の方が、数万倍、価値を持つ。
懐古主義を捨て、合理的に、日本のソーシャルワークの今を思考しよう。
ホコリを取り払っても、輝きを取り戻さないものは、
もう「古くて使い物にならない」ということでもあるのだ。
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5.日本のソーシャルワークを書き換える。
クライエント・ベースの視点を得ること。
そのためには、クライエントが抱える問題の出荷先である”社会”の側から、
クライエントと対峙する現場を眺めることのできる視座を持つ必要がある。
現場で運用する言語と、社会に働きかけるために必要な言語運用の仕方には、明確な違いがある。そして、”Social Worker”から、"Social Change Agent"へ駆け上がるための方法を、誰も体系化してこなかった故、日本の”Social Worker”たちには、社会を変革するという”コード”が埋め込まれてこなかった。
SCAのメンバーであるJiro Ito氏は、私と同い年だ。
彼の為している”攻め”のジサツ対策「夜回り2.0」とは、インターネット・ソーシャルワークという手法と称すことができる。他領域の英知を集結させ、ソーシャルワークを最大限活かしている。これは、時代性があり、かつ、Jiro Ito氏が、クライエントベースの視点で考え抜いたものだ。
彼は、”Social Worker”として社会を支え、"Social Change Agent"として社会を変えようというSCAのミッションを体現する最初の1人になるだろう。
そして、世に”ソーシャルワーカー”という存在を認知させるための広告塔にもなるだろう。
私は、いずれ、どこかの大学のポストにでも就きつつ、SCAが輩出するSocial Change Agentたちの力を借りながら、日本のソーシャルワークを書き換えるための、”社会”のシステムエラーに対抗する「攻め」のコードを埋め込んだ"Social Change Agent System"を創る。
それが、きっと、私の人生を賭けて為すべき、
成し遂げるべきミッションなのだ。
もう、迷いは無い。
多くの人を巻き込み、一気に行く。
私は、この仕事が好きだ。
ソーシャルワークの仕事に誇りを持ち、可能性を信じている。
だからこそ、日本のソーシャルワークの未来を変える。
志を共にする人よ、共に、"Social Change Agent System"を創ろう。
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