人を支えるという仕事とは?

公開日: 2013/05/08 MSW SW解体新书制作委员会 思索



過去に他機関の方々とでタッグを組んだ某ケースからの雑記エントリ。


認知症の患者さんの自宅に訪問するはずが、ご本人の強烈な拒否に合い頓挫。
自宅の状況が確認できれば、生活状況、経済状況、親族等の情報等かつ、在宅生活にお戻りいただけるかどうかの専門職としての評価材料も得られる。


数十分の間、手を替え品を替え、関係者全員で本人に話をするも、「散らかり、汚れている自分の家を見せたくない」という恥の意識が強く存在することが、見受けられた。


結果、本人が盗まれたと言っている通帳の再発行を短期目標とし、その上で、まずは印鑑を購入するという目的で、本人は外出に応じた。


「同じ方向のアプローチの強度を上げても、恥の意識が上位に来ている以上、ご本人にとって、そのアプローチは苦痛や不安しか生まない。」
という共通認識を、合同面接の中で、関係者間で共有し、ショートタームでの目標の再設定を、現在進行形で行なった。


ときに、「問題解決だけに焦点化」する援助者たちの手から、クライエント自身が歩みゆく道の「舵取り」をクライエントの手に戻して行く作業が必要になることがある。



「舵を奪うな。舵に手を添えよ。」



専門家たちが集まれば、ある程度の問題が見えるだけに、その解決だけを急ぎすぎてしまうことがある。そして、本人が舵を取るために必要なプロセスを、一緒に踏むということを置き去りにしてしまうことがある。




「すぐ忘れてしまうから、書いておいてほしい」という本人からの申し出で、印鑑に加えて、ノートを買い、日記をつけることとした


今日の出来事を、ひとつひとつ訪ね、次にやるべきことを、本人と関係者とで共有した。

ノートの表紙には「○○(患者さんの名前)の日記」と記して。



人を支えるという仕事は、既存の枠組みにその人を当てはめていくことではなく、その人に合わせたものを「創り出す」ということなのだと感じる。



だから、いつも、現場で、クライエントに試されているのだと思う

目の前にいる人間を、自分の既知の枠組み「だけ」に押さえ込もうとしていないか?と。


それは、自分の矮小さを知ることにもなる恐ろしいことでもあり、でも、援助をする側に立つ自分が試され、乗り越えるべき山を指し示してもらえる、最高に刺激的な瞬間でもある。



そんなことを思った。




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