「正論はなぜ通じないのか？」ということについて考える

公開日： 2012/04/06 勝手にブックレビュー 読書記録

「この人の言ってることはもっともだとは思うけれど…腹が立つ！！」という経験を多くの方はされたことがあるのではと思います。


私も同様で、社会人になり、そのように感じるシーンに幾度となく遭遇しました。ですが、その中で「正論は必ずしも人を動かさない」ということの意味に気づけたことは、今後の自分にとって結構重要なことだったなと思っています。



そんなことをふと思っていた時に読んでいた「話すチカラをつくる本」（著：山田ズーニー氏）にて「正論はなぜ通じないのか？」という一節がありました。


山田ズーニー氏は、進研ゼミの小論文編集長や、糸井重里氏の「ほぼ日刊イトイ新聞」で「オトナの小論文教室。」を担当されていた、現在はフリーランスでご活躍されている文章のプロです。


山田氏の著作は、小手先論を嫌い、何より、表現力を文章力を向上させることで人はもっと幸せに楽しく仕事ができる！というメッセージ性に溢れているので、個人的にはとても好きなのです。（ミーハー…笑


以下、「話すチカラをつくる本」から、一部を抜粋させていただきたいと思います。






正論はなぜ通じないのか？

正論が通じない理由のひとつは、正論を言うとき、自分の目線は、必ず相手より高くなっているからです。相手は正しいことだからこそ傷つき、でも正しいから拒否もできず、かといって、すぐに自分を変えることもできず、「わかっているのにどうして自分は変われないんだ」と苦しむことになりかねません。正論は相手を支配します。

ですから、相手は、あなたのことを「自分を傷つける人間だ」と警戒します。そう、あなたの「メディア力」は下がってしまいます。だから、あなたの言う内容が、どんなに正しく、相手の利益になることでも、相手は耳を貸そうとしないのです。(P76-77)

「こっちの言っていることは間違ってないだろう！？
なのになんだその態度は！これは仕事なのに…ナニクソ！」


と思ったとき、山田ズーニー氏の上記文章を読み返してみるとよいなーと思います。
「正論は相手を支配する」本当にその通りだなと思います。


相手を論破すること「だけ」が目的ならまだしも、本来コミュニケーションはそのようなものではないはずですから、「相手を支配」してしまっては、本来得たい効果が得られなくなります。


言葉は関係性の中で意味を持ち、その関係性の中で消化されるものです。
なので相手との関係性を見積もらずに正論を言っても届かないし、それはただの暴挙に過ぎないのだろうな、と思うわけです。


相手との「関係性」を見積もった上で、正論が届く関係性かどうかを考えることが大切なのですが、そもそも正論が暴挙になる関係性自体が、過去の相手とのコミュニケーションの齟齬を表しているので、これを修正することは非常に困難で体力がいります。


対人関係において、第一印象における「最初が肝心」という言葉の意味するところは、『相手との関係性を丁寧に構築するためには、自分を偽らず、背伸びせず、正直な姿で相手に「出会う」こと、それにより相手とのコミュニケーションの土台をつくることが大事』ということなのだと思っています。




自身の領域における専門書を読むことも大切ですが、多くの仕事は、聴く、話す、考える、伝える、というコミュニケーションの方法を駆使してするものだと思っています。


巷に、上記についての良書は転がっています。
ご自身の仕事を分節化し、その要素を切り出し、自分でそのひとつひとつを見つめ、磨いてみる、ということをしてみると、仕事はもっと楽しくなるよ！と個人的にはお伝えしたいです。


話すチカラをつくる本

伝わる・揺さぶる！文章を書く

序章の「女子高生への論文指導」の章が個人的にはおススメです。

書くことで変わる、ということがストーリーで書かれており、非常におもしろいです。

あなたの話はなぜ「通じない」のか

山田氏の著作に一貫しているのは、「自分のメディア力（人に自分が伝えたいことを伝えるための前提条件としての力）」、「伝える内容よりも、まずは伝えるこちら側の目線を大事にしよう」というメッセージなのだと勝手に解釈しています。

この３冊は、非常に読みやすいですし、小1,2時間あれば読み終えられるのでご興味のある方は読んでみることをおすすめしまーす。

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